[ダブリン 1日 ロイター] - イエレン米財務長官は経済協力開発機構(OECD)が合意した国際法人課税制度について、米企業への影響は小さくIT大手から幅広い支持が得られるとの見方を示した。
10月31日に行われたロイターのインタビューで述べた。
OECD加盟国はこれまでに、巨大多国籍企業の税逃れを防ぐために課税権を一部再配分し、法人税の国際的な最低税率を15%とすることで合意した。2023年からの実施を目指している。
イエレン氏は、最低税率の導入により多くの国が実施している複雑なデジタルサービス税が廃止され、アルファベット傘下のグーグルやアマゾン・ドット・コム、フェイスブックなどの大手ネット企業は確実性が増すと指摘した。
米財務省高官によると、最低法人税率については民主党単独の歳出法案の一部として議会で承認される見込み。2つ目の柱である課税権の再配分はまだ最終的に決定されていないが、別途可決させる必要がある。
共和党から批判の声が上がっているが、イエレン氏は大手企業が支持していることから、議会は最終的に「歩み寄る」との見方を示した。その上で「(IT企業は)合意に賛成しており受け入れ可能と議員に伝えるだろう」と述べ、企業の支持は助けになるとした。
財務省で試算を行った結果、米企業へのは小さいようだとし、「最終的にはどこで収入を得るかによる」と指摘した。
またアイルランドについて、教育水準の高い労働力や良好なビジネス環境があり、また欧州連合(EU)内で唯一の英語圏であることから、税制の変化に対応できると述べた。
「アイルランドでは実際に経済活動が行われており、単なるタックスヘイブンではない。引き続き非常に有利な立場にとどまるだろう」と語った。