[東京 3日 ロイター] - 日本製鉄は3日、2022年3月期(国際会計基準)の連結売上収益計画を6兆6000億円へと従来予想から1000億円下方修正した。自動車をはじめとした製造業の減速により、鋼材需要は調整局面にあるという。ただ、これまでの構造改革の効果や国内鋼材価格の引き上げなどがあり、利益予想は据え置いた。
半導体不足や物流停滞、変異株による新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う人手不足などから、自動車分野の減産を中心に製造業が減速しており「事業環境は一時的な調整に入っている」(森高弘副社長)という。
通期の単独粗鋼生産見通しは3970万トンから3880万トンに引き下げた。前期は3300万トンだった。需要減に加え、一部高炉のトラブルも影響した。
ただ、昨年度から進めてきた損益分岐点の引き下げや国内鋼材価格の引き上げなどが奏功し、本業のもうけを示す事業利益は8000億円(前期は1100億円)、純利益予想は5200億円(前期は324億円の赤字)で据え置いた。 IBESがまとめたアナリスト10人の通期純利益の予想平均は5082億円。
鋼材価格は、前回予想の1トン当たり11万7000円を据え置いたが、内訳としては前回予想時から変化があり「国内価格が相当上がった一方で、輸出価格は下期に向けて下がっている」という。国内鋼材価格については「一段の(価格引き上げ)要請を行っていきたい」と述べた。
来期に向け、鋼材需要に大きな変動はないとみている。ただ、原料価格や物流費などの上昇があり「今年から来年にかけてインフレへの対応が非常に重要になる」と述べ、いかにマージンをきちんととっていけるかが大切になるとの見方を示した。
配当は、これまで未定としていた期末配当を70円とし、年間配当は140円(前期は10円)で、過去最高となる。
同社は、1月にタイの電炉大手2社の買収を発表した。
森副社長は、欧州アルセロールミタルとのインドでの合弁会社、AM/NSインディアの拡充など、すでに予定している計画と合わせ「9000万トン近くの数字を達成できる」とし、グローバル粗鋼1億トンに向け「新たなM&Aも模索している」と述べた。