執筆:Yasin Ebrahim
Investing.com – ウクライナへの侵攻を続けるロシアに対する厳しい制裁措置の影響を見極める投資家が大勢となり、S&P500種株価指数は月曜日に下落して引けた。
S&P500は0.30%、ダウ平均は0.5%(179ポイント)それぞれ下落した一方、ナスダックは0.4%上昇した。
この制裁には、ロシアの特定の銀行を国際的な決済手段であるSWIFTから締め出すことや、ロシア中央銀行が自国経済を守るための緊急の資金として蓄えている6400億ドルの海外準備金を引き出すことを凍結することなどが含まれている。
ロシアとウクライナの紛争解決に向けた協議は、第1回協議に続き、双方が「交渉を継続する」ことを約束したため、今後数日のうちに再開される見通しである。
しかし、ロシアがハリコフでの攻撃を強化し、ウクライナの首都キエフに接近し続けているとの報道があり、会談の成功への期待感が低下した。
ロシアによるウクライナ侵攻を阻止するため、同国経済の崩壊を目的とした制裁強化に伴い、投資家が米国の銀行の対ロシア比重の高さを懸念し、銀行を中心とする金融市場が下落した形だ。
最も下落した企業のうち、Citigroup (NYSE:C)はロシアの資産の多さ(54億ドル規模)に対する懸念から、4%以上下落した。JPMorgan Chase(NYSE:JPM)は、欧州新興国ファンドとロシアファンドを停止し、同社株も4%以上値下がりした。
ロシアへの制裁措置の影響に加え、物価と逆相関の関係にある米国債利回りが低下し、投資家が安全資産を求めたことも、銀行に対する投資マインドを悪化させた。
米国債利回りの低下は、銀行の利鞘(銀行が生み出す利子収入と預金者に支払われる利子の差)を悪化させる。
エネルギー・セクターは、地政学的な緊張が続く中、供給停止への懸念から原油価格が4%上昇し、唯一の黒字セクターとなった。
しかし、BP (NYSE:BP)は、ロシアの石油会社Rosneftの19.75%の株式を最大250億ドルの損失で売却すると発表し、5%下落した。ライバルのShell (LON:RDSa)も、ロシアでの事業をすべて終了し、約30億ドルの減損をもたらす可能性があると発表している。
戦時中に恩恵を受ける防衛関連株が大きく上昇し、Northrop Grumman (NYSE:NOC) やLockheed Martin (NYSE:LMT)は5%以上の上昇となった。
また、エネルギー価格の高騰がEVの普及を促進するとの見方から、EV関連銘柄が上昇した。
Tesla (NASDAQ:TSLA) は、Bernstein証券が同社の目標株価を1300ドルから1450ドルに引き上げたことで、7%上昇した。