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アーバネット Research Memo(4):ZEH仕様のサステナブルな投資用マンションの開発に着手

発行済 2022-03-03 15:14
更新済 2022-03-03 15:16
© Reuters.
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■ZEH仕様マンションの開発に着手

2021年12月3日には、オリックス銀行及びメイクス(販売会社)との協働により、「ZEH-M Oriented」の認証※を予定する投資用ワンルームマンションの開発に着手したことを公表した。
業界初の取り組みと見られる。
第1号案件として、「(仮称)氷川台プロジェクト」(東京都練馬区)の開発を進めており、2022年3月に「ZEH-M Oriented」の認証、4月上旬着工、2023年2月末の竣工・引き渡しを予定している。


※ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現したうえで、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した住宅」のこと(経済産業省エネルギー庁HPより)。
集合住宅におけるZEHには、「ZEH-M」「Nearly-M」「ZEH-M Ready」「ZEH-M Oriented」の4種類があるが、アーバネットコーポレーション (T:3242)らが目指す「ZEH-M Oriented」は、再生可能エネルギーの導入の規定がないところに他との違いがあり、高性能断熱材や高断熱窓、高効率な設備を使用することで、年間で消費する住宅エネルギーを正味20%以上削減するものである。



1. 本件に至った経緯及び狙い
同社は、かねてよりZEH仕様マンション開発の調査・研究を進め、採算面を含む事業化の具現性を慎重に検討してきた。
今回、環境配慮型投資用不動産の普及に向けて、金利優遇を通じたデベロッパー支援を働きかけてきたオリックス銀行並びに、個人投資家向けにサステナブルな投資用マンションの販売を手掛けたいメイクスと、それぞれの意向が一致したことが本件に至った経緯である。
3社協働によるZEH仕様マンションの開発促進を通じた脱炭素社会への貢献と、新たな事業機会の創出に狙いがある。


2. 3社協働による事業スキーム
同社が、「ZEH-M Oriented」 に適用するための設計を始め、導入コストの算定、導入後の電気代・ガス代の削減額の算定などを通じて開発を推進する役割を担う一方、オリックス銀行は、同社に対して金利優遇による開発資金(用地取得や建築資金)の提供を行うとともに、最終購入者である個人投資家に対しては金利優遇による投資用ローンを提供する。
また、販売会社であるメイクスは、同社からZEH仕様マンションを通常より少し高い価格(ZEH費用の一部を含む)で購入するとともに、個人投資家向けに資産価値の高い投資用マンションとして提案及び販売を行う。
したがって、ZEHに係る費用は、同社とオリックス銀行、メイクスの3社がそれぞれ分担することとなる。
なお、個人投資家にとって購入価格は少し高くなるものの金利優遇により支払総額は通常マンションと同程度となるほか、賃料を少し高めに設定することで利回りも確保できる。
また、賃借人にとっても光熱費削減により実質家賃は変わらず、快適な居住空間を享受することができる。


なお、同社にとって、ZEH費用の一部負担は発生するものの、他社との差別化やブランディング強化による人材確保、社員のモチベーションやスキル向上などを考慮すれば、十分にプラスの効果が期待できる。
同社ではZEH仕様マンションの普及・拡大に向けて、他のパートーナーとの協働にも意欲的であり、他社に先駆けたアドバンテージを生かし、業界の中でのポジションをさらに高めていく戦略である。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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