三菱重工業<7011>(東1)は3月8日、洋上風力発電所の建設ならびに運用・保守(O&M:Operation and Maintenance)を行う作業員を安全に輸送する洋上風力発電所用交通船(CTV:Crew Transfer Vessel)向けに、国内メーカーとしては初となるウォータージェット推進装置を開発したと発表。
造船会社であるツネイシクラフト&ファシリティーズ株式会社(本社:広島県尾道市)から受注した初号機は、風力発電所のO&Mなどを手掛けるCTV船主のイオスエンジニアリング&サービス株式会社(本社:東京都千代田区)へ納入される予定。
■接舷支援・自動追従などの自動操船支援装置により、日本の厳しい潮流・波高条件下でも安定したアクセス性を実現
同社製ウォータージェット推進装置は、装置本体にステンレスを採用することで高い強度・耐食性を備えている。また、特殊軸流型インペラの採用により、ウォータージェット推進装置では難しいとされる低船速域での高い推進力とコンパクト性を実現している。
加えて、今回のCTV向けウォータージェット推進装置には接舷支援システム、自動追従システムといった独自開発の自動操船支援装置が搭載されており、日本の厳しい潮流・波高の海象条件下でも、操船技量に関わらず安定した洋上風車へのアクセスが可能。水中ロボットと連動した操船により、海中の風車設備点検作業の大幅な効率化も期待できる。初号機は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「風車運用・維持管理技術高度化研究開発」の一環として活用される予定。
■防衛省・海上保安庁への計200台以上の装置納入実績と365日24時間のサポート体制で、船舶の安全稼働に貢献
同社は、国産のウォータージェット推進装置メーカーとして、防衛省・海上保安庁の艦艇・巡視船艇用途を中心にこれまで計200台以上の装置を納入した実績を有している。また、全国のサービス拠点を活用した365日24時間のサポート体制で船舶の安全稼働に貢献している。
三菱重工は今後も、ウォータージェット推進装置の開発を通じて大規模洋上風力発電所の円滑な建設と稼働率向上に寄与するとともに、日本政府が掲げる2050年カーボンニュートラル社会の実現に向けて貢献していくとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)