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クレスコは上値試す、23年3月期も増益・連続増配予想で収益拡大基調

発行済 2022-05-24 09:06
更新済 2022-05-24 09:35
© Reuters.  クレスコは上値試す、23年3月期も増益・連続増配予想で収益拡大基調

 クレスコ<4674>(東証プライム)は独立系のシステムインテグレータで、ビジネス系ソフトウェア開発や組込型ソフトウェア開発のITサービスを主力としている。さらに成長戦略として顧客のDXを実現するデジタルソリューションも強化している。22年3月期は大幅増益で配当も増配とした。受注が好調に推移し、生産性向上効果なども寄与した。そして23年3月期も増益・連続増配予想としている。企業のDX投資は高水準に推移する見込みであり、さらに上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合いが悪化する中でも水準を切り上げて戻り高値圏だ。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。

■ITサービスを主力としてデジタルソリューションも強化

 独立系のシステムインテグレータで、ビジネス系ソフトウェア開発や組込型ソフトウェア開発のITサービスを主力としている。さらに成長戦略として顧客のDXを実現するデジタルソリューションも強化している。

 セグメント区分は22年3月期から変更して、ITサービス(エンタープライズ、金融、製造の各分野のコンサルティング・開発・保守の総合サービス)と、デジタルソリューション(自社製品Creage、インテリジェントフォルダなど、顧客のDXを実現する製品・サービスからなるソリューション群)としている。

 22年3月期セグメント別構成比は、売上高がITサービス事業95%(エンタープライズ41%、金融31%、製造23%)、デジタルソリューション事業5%、セグメント利益構成比(全社費用等調整前)がITサービス事業98%(エンタープライズ38%、金融29%、製造30%)、デジタルソリューション事業2%だった。

 収益面では案件別の採算性が影響し、企業のIT投資関連のため年度末にあたる第4四半期の構成比が高くなる特性がある。配当方針は、連結経常利益をもとに特別損益を零とした場合に算出される親会社株主帰属当期純利益の30%相当を目途に、継続的に実現することを目指すとしている。

■働き方改革や健康経営を推進

 中期経営計画では24年3月期の目標値として売上高500億円、営業利益50億円、ROE15%以上を掲げている。新たなビジネスの柱を生み出すための重点戦略として、デジタルソリューションの強化、機動的経営の進化、人間中心経営の深化、コアビジネス領域をより強固なものにするための基本戦略として、ITサービスの拡大、品質の強化、技術の強化を推進している。なお22年4月から第2創業期として会社ロゴを変更した。

 20年9月には社内デジタル変革(DX)を加速させるため「ニューノーマルな働き方」に舵を切ると発表した。テレワーク体制を強化して社員の生産性向上を目指すとともに、本社や開発センターのオフィススペースの最適化、在宅勤務手当新設や通勤手当見直しなどにより、コスト削減も推進する。

 21年6月には、新型コロナウイルス感染症に係る支援(1億円の寄付)が評価されて日本赤十字社から「金色有功章」の楯を拝受した。21年11月には、働き方改革を通じて生産性革命に挑む先進企業を選定する日本経済新聞社「第5回 日経スマートワーク経営調査」で3つ星の評価を獲得した。22年3月には、経済産業省が共同で主催する健康経営優良法人認定制度に基づく「健康経営優良法人2022」に選定された。22年4月には、株式会社ワーク・ライフバランスが主催する「男性育休100%宣言」に賛同すると発表した。

■M&Aや自社オリジナル製品でデジタルソリューションを拡大

 デジタルソリューション拡大に向けてM&A・アライアンスも積極活用している。20年2月には北海道大学公認AIベンチャーの調和技研と資本業務提携、20年4月にはシステムインテグレータのエニシアスを子会社化、21年7月には組込型ソフトウェア開発に強みを持つOECを子会社化した。

 子会社再編では、22年5月1日付でクリエイティブジャパンの商号をクレスコ・デジタルテクノロジーズに変更した。また子会社のアルスがエヌシステム、ネクサスを吸収合併(22年7月1日予定)する。3社のノウハウおよびリソースを統合してビジネスの拡大を推進する。

 オリジナル製品・サービスでは、IoTのKEYAKI、AIのMinervae、クラウドのCreageを3大ブランドと定義し、ソフトウェア開発・システム開発の需要喚起を推進している。21年7月にはCreageをマイクロソフトのAzure対応にバージョンアップした。

 21年8月には、東京都教育委員会および一般財団法人東京学校支援機構(TEPRO)と協定を締結して、都内の公立小中学校のデジタル活用支援に参画(22年1月~3月)した。また、画像処理AI学習データ作成時のアノテーション(データに対して関連する情報を付加すること)作業負荷を軽減する手法の特許を取得した。

 21年9月には、子会社のクリエイティブジャパンが、大学・高専・研究所での研究・開発用として、低価格の「ELTRESアドオンIoT開発キット」の提供を開始した。コロナ過で厳しい研究・教育環境への貢献でIoT普及を推進する。

 21年12月には、日本眼科AI学会主催「第2回日本眼科AI学会総会」内のプログラム「眼科AIコンテスト」において、同社技術研究所に所属する社員2名が上位入賞した。

■22年3月期大幅増益・増配、23年3月期も増益・連続増配予想

 22年3月期の連結業績(収益認識会計基準適用だが損益への影響なし)は、売上高が21年3月期比11.9%増の444億50百万円、営業利益が27.9%増の44億57百万円、経常利益が16.6%増の47億82百万円、親会社株主帰属当期純利益が22.9%増の32億36百万円だった。配当(2月28日付で期末4円上方修正)は21年3月期比6円増配の44円(第2四半期末20円、期末24円)とした。

 前回予想(2月28日付で上方修正、売上高440億円、営業利益44億40百万円、経常利益46億円、親会社株主帰属当期純利益31億80百万円)を上回る大幅増益で着地し、過去最高益を連続更新した。コロナ禍からの回復やM&A(第2四半期からOECを新規連結)も寄与して受注が好調に推移し、生産性向上効果や不採算プロジェクト極小化なども寄与した。全社ベースの受注高は17.7%増の467億02百万円だった。

 ITサービス事業は売上高が10.7%増の423億42百万円(エンタープライズが6.7%増の182億19百万円、金融が10.7%増の136億89百万円、製造が18.4%増の104億33百万円)で、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が23.4%増の57億18百万円だった。企業のDX投資が高水準に推移し、コロナ禍からの回復やOECの新規連結も寄与して全サブセグメントが伸長した。

 デジタルソリューション事業は売上高が44.4%増の21億07百万円で利益が15.1%増の1億45百万円だった。クラウドサービス「Creage」やRPAライセンス販売が増加し、子会社における大型ソリューション案件も寄与した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が98億70百万円で営業利益が7億99百万円、第2四半期は売上高が111億91百万円で営業利益が12億18百万円、第3四半期は売上高が113億45百万円で営業利益が12億75百万円、第4四半期は売上高が120億44百万円で営業利益が11億65百万円だった。

 23年3月期の連結業績は売上高が22年3月期比6.9%増の475億円、営業利益が6.6%増の47億50百万円、経常利益が7.7%増の51億50百万円、親会社株主帰属当期純利益が3.5%増の33億50百万円としている。配当予想は22年3月期比2円増配の46円(第2四半期末23円、期末23円)としている。

 引き続き受注が好調に推移して増収増益・連続増配予想としている。不透明感を考慮して小幅増益にとどまる予想としているが保守的だろう。企業のDX投資は高水準に推移する見込みであり、さらに上振れの可能性がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は地合いが悪化する中でも水準を切り上げて戻り高値圏だ。好業績を評価して上値を試す展開を期待したい。5月23日の終値は2070円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS159円22銭で算出)は約13倍、今期予想配当利回り(会社予想の46円で算出)は約2.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1051円97銭で算出)は約2.0倍、時価総額は約476億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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