[東京 1日 ロイター] - 全国銀行協会の半沢淳一会長(三菱UFJ銀行頭取)は、円安やロシアのウクライナ侵攻による資源・原材料高で物価が上昇していることについて、企業収益や家計所得へ負の影響が広がっていくことに懸念を示した。
半沢会長は、ロイターとのインタビューで、1ドル=135円程度で推移する為替相場について、海外生産へのシフトで従来ほどのプラス効果はないものの、輸出企業にとっては「総じてプラス」との見方を示した。一方で、円安は輸入物価の上昇につながっており「急激な為替変動で経済的な影響は相応に出てくる。しっかりと注視していく必要がある」と指摘した。
金融政策については、日銀の専管事項であり個人的見解と断ったうえで「日銀が考える政策効果と副作用のバランスをしっかり考えた政策運営が必要。適切な判断をしていただくことを期待している」と述べた。
日銀を除く世界の中央銀行の多くは、コロナ禍で緩和した金融政策の引き締めに動いている。仮に日本でも金融緩和政策の転換がはかられ、金利上昇局面となった場合は「短期的に見れば、保有する資産の価格が下がるという面がある」とする一方で「景気の回復と平仄を合わせた金利の上がり方を想定すると、中長期に見れば、貸出も増えるし、保有資産の利回りも上がっていくので、プラス効果がしっかり出てくる」と指摘。短期的に見るか、中長期的に見るか、また、金利の上がり方のペースによって銀行業界への影響は異なってくると説明した。
半沢会長は高島誠会長(三井住友銀行頭取)の後任として1日に就任した。
*インタビューは6月23日に実施しました。