[東京 2日 ロイター] - 日本電産は2日、業績悪化の責任を取って関潤社長兼最高執行責任者(COO)が辞任すると発表した。新社長には創業メンバーの1人である小部博志副会長(73)が就く。永守重信会長(78)の正式な後継は2024年4月までに社内から改めて選ぶとしており、小部会長はそれまでの暫定的な就任となる。
関氏の辞任は2日付、小部氏の社長兼COO就任は3日付。
会見した永守氏は「外部にもっと良い人がいると言って迎えたが、私の錯覚だった」と発言。来年4月に社内から副社長5人を選任し、24年4月には1人を社長に昇格させると説明した。
日本電産は創業者の永守会長が売上高2兆円に近い企業に育てたが、後継者探しが課題となっていた。
関氏は永守会長に請われて日産自動車から日本電産に転じたが、就任から1年足らずの今年4月に最高経営責任者(CEO)の職から外れ、COOに降格。成長分野として注力する電気自動車の駆動モーター事業に専念していた。代わって永守氏がCEOに復帰した。
永守会長は「三顧の礼をもって迎えたが、車載事業がどんどん悪くなり、残念ながら私の思い通りにいかなかった」と述べた。
同社の22年4─6月期の営業利益(国際会計基準)は前年同期比0.2%増の446億円と四半期ベースで過去最高を更新したものの、円安効果が大きい。車載事業は3200万円の営業赤字と2四半期連続で赤字が続いている。
13年には日産の中核子会社カルソニックカンセイ(現マレリホールディングス)社長だった呉文精氏を副社長に据えたが、統括していた車載や家電事業で期待された実績を上げることができず15年に退社した。
18年には副社長だった吉本浩之氏を社長兼COOに選び、創業以来初めての社長交代として注目を集めたが、20年に再び副社長となって退社した。
永守氏は「外部の人間ばかりを探してきたのは私の重大なミス。入社してくれた社長候補にも迷惑をかけたと反省している」と述べた。
新社長に就任する小部副会長は会社設立に参加し、1984年に取締役、2000年に取締役副社長に就いた。現在は最高業績管理責任者と代表取締役副会長執行役員を兼任している。
永守会長は日本電産を55年間支えてきた小部副会長について「営業における大番頭。絶対的信頼があり、間違ったことがあったら意見を言える人物」と評価。同社の企業文化を長年知る人材を起用し、早期の業績改善と株価回復を目指すとした。
同社の株価は昨年に更新した上場来高値(1万5175円=21年2月16日)から急落している。ウクライナ情勢の緊迫化や米長期金利の上昇などの外部環境の悪化もあり、6月には7830円と20年7月以来の安値をつけた。業績に加え、株価の回復も課題となっている。