[日経平均株価・TOPIX(表)]
日経平均;27391.00;-325.43TOPIX;1932.74;-16.75
[後場の投資戦略]
日経平均は下値支持線に切り替えてきていた75日移動平均線を再び下放れ、心理的な節目の27500円も割り込んできた。
前日は終日下げ幅を広げる流れで、一昨日の陽線を打ち消す陰線を形成し、本日はその後のサポート割れとあって印象が悪い。
今週に入って大きく好転していたテクニカルだが、昨日と今日とで一気に悪化した格好だ。
それもそのはず、開票作業が進む米中間選挙については、事前に野党・共和党の勝利が高い確率で予想されていた。
民主党政権が掲げる増税などのネガティブな政策が成立しにくくなるとの見方から、中間選挙後の株高アノマリーも先取りする形で株式市場は上昇していた。
しかし、激戦が繰り広げられている上院だけでなく、下院でも依然として共和党が優勢ながらも、民主党がかなり善戦していることが伝わっており、選挙結果に対する先行き不透明感が急速に高まってきた。
前提が覆されることを嫌って、本日は週明けからの上昇の反動で売りが膨らんでいるようだ。
市場のムードが悪化してきたことで、今晩の米10月消費者物価指数(CPI)
への警戒感も昨日まで以上に高まる形になっている。
今の流れでCPIの結果が市場予想を上回るとなると、相場は下方向に一気に振れそうなため注意が必要だろう。
一方、相場にとってポジティブな材料としては、昨日、米シカゴ連銀のエバンス総裁が金融引き締めの行き過ぎを懸念し、利上げペースを減速させることが妥当とのハト派的な見解を示した。
米CPIが予想並みにとどまり、米中間選挙の結果も予想通り少なくとも下院での共和党勝利が実現すれば、相場は再びラリーへの動きに転じる可能性がある。
反面、どれか一つでも予想と異なることがあると、短期的には下値模索のリスクが高まる恐れがあろう。
暗号資産(仮想通貨)交換業者FTXが資金繰りの悪化に直面し、破産法適用の申請が近いとの報道を背景に、暗号資産価格が軒並み急落していることも気掛かりだ。
同業のバイナンス・ホールディングスが同社買収の撤回を発表したことで警戒感は急速に高まっている。
機関投資家のポートフォリオに占める暗号資産の割合はさほど高くないと思われるが、価格の下落が行き過ぎるとリスク低減を目的に他の資産クラスの売却につながる恐れもあるため、こちらも注意が必要だ。
特に個人投資家については影響が大きく、米国では個人もオプションなどのデリバティブ取引に積極的な背景を踏まえると、個人投資家のセンチメント悪化を通じた株式市場への影響も懸念される。
11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)や米10月雇用統計を通過し、日経平均VIや米VIX指数に落ち着きがみられるなど、足元では市場にやや楽観的なムードが漂っていた面が否めない。
こうした中、ほぼ同じタイミングで嫌なニュースが重なってきたことには警戒感をもって臨む必要があろう。
本日の日経平均が27500円を下回ってからも下げ幅を広げる動きを止めていない点も気掛かりだ。
8日に、日経平均が27500円や75日線といったテクニカルな節目を明確に上回ってきたことが、商品投資顧問(CTA)などトレンドフォロー型ファンドの買いを誘っていた背景があったが、早々にこうしたテクニカルな節目を再び割り込んできていることで、短期筋の売り転換も懸念される。
ラリーへの期待には早くも黄色信号が灯ってきた。
(仲村幸浩)
日経平均;27391.00;-325.43TOPIX;1932.74;-16.75
[後場の投資戦略]
日経平均は下値支持線に切り替えてきていた75日移動平均線を再び下放れ、心理的な節目の27500円も割り込んできた。
前日は終日下げ幅を広げる流れで、一昨日の陽線を打ち消す陰線を形成し、本日はその後のサポート割れとあって印象が悪い。
今週に入って大きく好転していたテクニカルだが、昨日と今日とで一気に悪化した格好だ。
それもそのはず、開票作業が進む米中間選挙については、事前に野党・共和党の勝利が高い確率で予想されていた。
民主党政権が掲げる増税などのネガティブな政策が成立しにくくなるとの見方から、中間選挙後の株高アノマリーも先取りする形で株式市場は上昇していた。
しかし、激戦が繰り広げられている上院だけでなく、下院でも依然として共和党が優勢ながらも、民主党がかなり善戦していることが伝わっており、選挙結果に対する先行き不透明感が急速に高まってきた。
前提が覆されることを嫌って、本日は週明けからの上昇の反動で売りが膨らんでいるようだ。
市場のムードが悪化してきたことで、今晩の米10月消費者物価指数(CPI)
への警戒感も昨日まで以上に高まる形になっている。
今の流れでCPIの結果が市場予想を上回るとなると、相場は下方向に一気に振れそうなため注意が必要だろう。
一方、相場にとってポジティブな材料としては、昨日、米シカゴ連銀のエバンス総裁が金融引き締めの行き過ぎを懸念し、利上げペースを減速させることが妥当とのハト派的な見解を示した。
米CPIが予想並みにとどまり、米中間選挙の結果も予想通り少なくとも下院での共和党勝利が実現すれば、相場は再びラリーへの動きに転じる可能性がある。
反面、どれか一つでも予想と異なることがあると、短期的には下値模索のリスクが高まる恐れがあろう。
暗号資産(仮想通貨)交換業者FTXが資金繰りの悪化に直面し、破産法適用の申請が近いとの報道を背景に、暗号資産価格が軒並み急落していることも気掛かりだ。
同業のバイナンス・ホールディングスが同社買収の撤回を発表したことで警戒感は急速に高まっている。
機関投資家のポートフォリオに占める暗号資産の割合はさほど高くないと思われるが、価格の下落が行き過ぎるとリスク低減を目的に他の資産クラスの売却につながる恐れもあるため、こちらも注意が必要だ。
特に個人投資家については影響が大きく、米国では個人もオプションなどのデリバティブ取引に積極的な背景を踏まえると、個人投資家のセンチメント悪化を通じた株式市場への影響も懸念される。
11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)や米10月雇用統計を通過し、日経平均VIや米VIX指数に落ち着きがみられるなど、足元では市場にやや楽観的なムードが漂っていた面が否めない。
こうした中、ほぼ同じタイミングで嫌なニュースが重なってきたことには警戒感をもって臨む必要があろう。
本日の日経平均が27500円を下回ってからも下げ幅を広げる動きを止めていない点も気掛かりだ。
8日に、日経平均が27500円や75日線といったテクニカルな節目を明確に上回ってきたことが、商品投資顧問(CTA)などトレンドフォロー型ファンドの買いを誘っていた背景があったが、早々にこうしたテクニカルな節目を再び割り込んできていることで、短期筋の売り転換も懸念される。
ラリーへの期待には早くも黄色信号が灯ってきた。
(仲村幸浩)