[15日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のバー副議長(金融監督担当)は15日、暗号資産(仮想通貨)などFRBや他の規制当局が見通しを立てにくいノンバンクセクターからのリスクについて懸念していると述べた。
上院銀行委員会で「われわれはノンバンクセクターの未知のリスクを懸念している」と指摘。「これに暗号資産に関する活動が含まれるのは明らかだが、より広義には金融システムの一部で良好な見通しや透明性、データが得られない場合のリスクも含まれる。これはわれわれが規制している金融システムに影響を与えるリスクを生み出す可能性がある」とした。
最近の暗号資産市場の出来事については「ほとんどが銀行セクター外で起こっているが、強力なガードレールがない場合、新たな資産クラスや活動に伴う投資家や消費者へのリスクが浮き彫りになる」と言及。「われわれはイノベーションを阻害したくないが、規制が緩かったり、遅れていたりすると、リスクテイクや底辺への競争を促進し、消費者や企業、経済を危険にさらし、新たな製品やサービスに対する消費者や投資家の信用を失墜させることになる」とした。
一方で、暗号資産分野における当初の規制の枠組みを提供するのは市場規制当局の方が適した立場にあるとした。
金融機関による暗号資産のカストディー(保管)事業運営に関しては、「現在、カストディー活動を行おうとしている金融機関は非常に少ない」としながらも、「銀行はカストディー事業で保管する暗号資産に対して資本を積み増す必要がある」と言及。伝統的な資産のカストディー事業には資本の積み増しが求められていないため、「銀行の意思決定に影響を与える」とした。
<経済見通しの軟化>
バー副議長は「あまりにも高すぎる」インフレと戦うためにFRBが利上げする中、経済見通しが軟化しており、金融システムにとって重要なリスクになっていると警告。失業率がどの程度上昇するかという具体的な予測は控えたが、「経済が大幅に軟化することは間違いない。現在はリセッション(景気後退)ではないが、経済成長は鈍化している」とした。
さらにFRBの金融引き締めによって「経済が弱まれば、家計や企業、ひいては銀行システム全体にストレスがかかる可能性がある」とした。