(業績修正速報)
イトーキ<7972>(東証プライム)は12月23日の取引時間終了後に22年12月期通期の利益予想の上方修正(利益予想は2回目の上方修正)を発表した。ワークプレイス事業においてオフィス移転・リニューアル案件を中心に需要が好調に推移し、設備機器・パブリック事業も堅調に推移して営業利益と経常利益が前回予想を上回り、当期純利益については固定資産売却益計上も寄与する見込みだ。構造改革プロジェクトの推進で体質改善効果も継続する見込みであり、23年12月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は地合いが悪化する中でも年初来高値圏で堅調に推移している。好業績や指標面の割安感が評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。
■22年12月期通期利益予想を上方修正
22年12月期通期の連結業績予想は、12月26日付で売上高を据え置き、各利益を上方修正して、売上高が21年12月期比6.1%増の1230億円、営業利益が64.1%増の42億円、経常利益が68.2%増の41億円、親会社株主帰属当期純利益が4.5倍の50億円とした。配当予想は据え置いて21年12月期と同額の15円(期末一括)としている。
前回予想(8月8日付で上方修正)に対して、営業利益は2億円、経常利益は1億円、親会社株主帰属当期純利益は23億円上回る見込みとした。ワークプレイス事業においてオフィス移転・リニューアル案件を中心に需要が好調に推移し、設備機器・パブリック事業も堅調に推移して営業利益と経常利益が前回予想を上回る見込みだ。なお特別利益に非事業用資産の土地・建物を譲渡して固定資産売却益約65億円、特別損失にソフトウェア等に係る固定資産除却損13億77百万円を計上する。
なお第3四半期累計の連結業績(収益認識会計基準適用だが損益への影響は軽微)は、売上高が前年同期比7.0%増の899億61百万円で、営業利益が2.4倍の40億86百万円、経常利益が2.5倍の41億25百万円、親会社株主帰属四半期純利益が4.1倍の35億17百万円だった。
需要が好調に推移し、構造改革プロジェクトの推進による売上総利益率上昇や販管費抑制なども寄与して大幅増益だった。特別利益では固定資産売却益が減少(前年同期は11億83百万円計上、今期は1億39百万円計上)したが、子会社Global Treehouseの解散に伴う債務免除益7億79百万円を計上した。特別損失では前期計上の減損損失8億64百万円が剥落した。なお収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が15億31百万円増加、売上原価が12億33百万円増加、営業利益、経常利益、および税金等調整前四半期純利益がそれぞれ2億97百万円増加している。
ワークプレイス事業は売上高が5.1%増の632億05百万円、セグメント利益(営業利益)が66.7%増の24億47百万円だった。ニューノーマル時代の新しい働き方にあわせたオフィス移転・リニューアル案件を中心に需要が好調だった。原材料価格高騰の影響があったが、増収効果に加えて、構造改革プロジェクトの推進によって売上総利益率が改善した。
設備機器・パブリック事業は売上高が13.0%増の254億91百万円、営業利益が2.4倍の12億57百万円だった。子会社ダルトンにおいて前期受注したサイエンスパークなどの大型案件が牽引し、物流設備の需要も好調だった。
IT・シェアリング事業は売上高が6.2%減の12億円、営業利益が3億25百万円の黒字(前年同期は3億15百万円の赤字)だった。Global Treehouseの解散で黒字転換した。またシステム開発事業、システム検証事業、オフィス空間シェア事業が堅調に推移した。
四半期別に見ると、第1四半期は売上高353億45百万円で営業利益39億64百万円、第2四半期は売上高284億11百万円で営業利益4億07百万円、第3四半期は売上高262億05百万円で営業利益2億85百万円の赤字だった。収益はオフィス移転シーズンにあたる上期(特に第1四半期)偏重の特性がある。
重点戦略として、中期経営計画に基づいた構造改革プロジェクトを推進し、ポストコロナの「働く環境」つくりでリードしていくための商品・サービスの展開を本格化する方針だ。構造改革プロジェクトの推進で体質改善効果も継続する見込みであり、23年12月期も積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株価は上値試す
株価は地合いが悪化する中でも年初来高値圏で堅調に推移している。好業績や指標面の割安感が評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。12月23日の終値は574円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS110円42銭で算出)は約5倍、今期予想配当利回り(会社予想の15円で算出)は約2.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS992円89銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約262億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)