白木真紀 Gilles Guillaume David Dolan
[東京/パリ 14日 ロイター] - 日産自動車が来週、仏ルノーとの提携関係見直し協議を巡り、独立社外取締役を中心に委員会を開くことが分かった。協議の大きな障害となっている知的財産問題の解決に向け、ルノーが大幅に見直してきた新たな提案を検討する。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
関係者の1人は、実務レベルだった交渉が取締役レベルという、より高い段階へ移りつつある兆候だと指摘。委員会の構成メンバーは判明していないが、別の関係者は「協議は少しずつ進捗している」と述べ、日産側がルノーの新たな提案を議論し、今後の交渉をどう進めるか判断するとしている。
電気自動車(EV)部門と内燃機関部門を分離する事業構造改革を進めるルノーは、アライアンス(連合)を組む日産と三菱自動車に新たなEV会社への出資と参画を求めている。ルノーと日産の両社首脳が昨年10月に東京で会談して以来交渉を重ね、当初は11月中旬にも合意する見通しだったが、日産の技術や知的財産をどう保護するかを巡り協議は難航し、越年した。
前出と別の関係者によると、ルノーは今回、「大幅に条件を見直してきた」新たな案を提示。詳細は不明だが、特許技術の流出に対する日産の懸念を払拭する内容であれば、提携関係見直しを巡って合意に近づくことになる。
ルノー、日産ともロイターの取材にコメントを控えた。
日産とルノーの提携関係は20年以上にわたり、共有している特許が多くあるため、知的財産が複雑化している。特に今後の競争力を左右するEV関連特許などの扱いで両社の主張は折り合いがつかず、交渉が長引いている。
ルノーは内燃機関の部門については中国乗用車大手の吉利汽車と合弁会社を設立することで大筋合意している。日産は出資しない方針だが、関係者によると、同合弁会社への技術流出も警戒しており、ルノーと共有する知財の利用を制限したい考え。
日産とルノーは同時に資本関係の見直しを進めている。両社の資本関係は1999年、経営危機に陥った日産をルノーが救済するところから始まった。現在はルノーが日産に約43%、日産がルノーに15%を出資するが、フランスの法律上、40%以上の出資を受ける子会社の日産は親会社ルノーの株式を保有していても議決権がない。今では事業規模で日産がルノーを上回り、持ち分法利益や配当金の形で日産がルノーの業績を支えている。フランス政府もルノー株式を15%保有する。
関係者によると、両社は資本関係をより対等にするため、出資比率を最終的に15%ずつでそろえることを軸に協議中。議決権の扱いほか、日産株を信託に移して段階的に売却することを議論をしている。
(白木真紀、Gilles Guillaume、David Dolan 編集:久保信博、Kevin Krolicki)