■2015年2月期決算の詳細分析
(1)総括
2015年2月期は売上高76,725百万円(前期比13.2%増)、営業利益2,880百万円(同20.3%減)、経常利益5,997百万円(同33.8%増)、当期利益5,075百万円(同18.5%増)となった。
営業利益は会社予想の4,100百万円に対して1,220百万円の未達となったが、営業外損益において為替差益3,431百万円が計上されたため、経常利益、当期利益は予想に対してそれぞれ1,997百万円、675百万円上回って着地した。
同社がKPI(重要業績評価指標)と位置付けるEBITDA※は7,204百万円と、前期比6.5%の増加となった。
※EBITDA:Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortizationの頭文字。
営業利益+減価償却費+有形固定資産償却費+のれん償却費。
国による税法、金利、会計基準の違いを取り除いた利益の額。
多国籍企業の業績を評価する場合や、異なる国の同業他社間で業績を比較する場合に有用な指標とされる。
今決算のポイントは営業利益の未達である。
この点について同社では、国内事業の積極的展開に向けて広告宣伝や販促活動などへ投資したため販管費が増加したことを営業減益の原因に挙げている。
「国内事業の積極展開」の背景には同社の前向きな投資拡大姿勢という意味合いに加えて、ライバル社との競争激化という側面も含まれていよう。
アデランス (TOKYO:8170)の特徴とも言える海外事業は、主力のヘアクラブ社とボズレー社が順調に売上高を伸ばした。
利益面では、買収したヘアクラブ社ののれんと無形固定資産の償却負担が重く営業損失が続いているが、損失は着実に縮小している。
アデランス事業:男性用オーダーメイドかつら 新規とリピートを合わせた売上高は11,152百万円(前期比5.7%増)となった。
収益の中心となるリピートの売上高は前期比2.5%増にとどまったが、新規売上高は同38.4%増と大きく伸びた。
この分野でもアートネイチャーと激しく争っているが、気軽に部分的増毛感が得られる増毛・活毛商品や育毛サービスについて積極的な広告宣伝・販促費を投入したことが奏功した。
新規客がリピート客へと移行するため、2015年2月期に新規顧客獲得に勢いを取り戻したことの意義は大きい。
アデランス事業:女性用オーダーメイドかつら 女性用かつらは業界全体として消費増税後の需要の戻りが鈍い状況にある。
同社も例外ではなく、需要回復の弱さを感じ取った同社は、全国主要百貨店での展示試着会の開催数増加や新製品投入などの施策を打った。
その結果、オーダーメイドかつら全体の売上高は18,607百万円と前期比5.2%の成長を達成した。
アートネイチャーの当該分野の2015年3月期売上高は前期比10%近いマイナスとなった模様で、それとの比較では同社は十分健闘したと評価できよう。
フォンテーヌ事業 女性用レディメイドかつらを扱うフォンテーヌ事業の売上高は9,433百万円で前期比5.0%増となった。
レディメイドかつらは女性がオーダーメイドかつらに移行する前の入り口的商品という重要な役割を担っている。
同社は百貨店、GMSなどで複数ブランドを展開しているが、2015年2月期は三越伊勢丹 (TOKYO:3099)向け「ルネ オブ パリスbyフォンテーヌ」やイオン (TOKYO:8267)系GMS向けの「スワニーbyフォンテーヌ」の出店を進めて増収を確保した。
ボズレー事業 ボズレー事業の売上高は10,510百万円(前期比12.8%増)、営業利益462百万円(同1.1%増)となった。
現地通貨建て売上高も98.7百万ドル(同3.8%増)と堅調に推移した。
新CMの制作・投入やWeb刷新などが奏功した。
また、「FUE」という手法を用いて自毛の植毛を行う施術にも後発ながらも参入して顧客の選択肢拡大に貢献したことも、施術数増加につながったとみられる。
海外ウィッグ事業 海外ウィッグ事業の売上高は24,086百万円(前期比33.9%増)と大幅に伸長した。
これは2013年4月に買収した米ヘアクラブ社の業績が順調に拡大していることや、欧州市場で医療用ウィッグが堅調に推移したことが大きい。
ヘアクラブ社については、FC店舗を買い取って直営店にしたり、女性用かつらについて試験的に販促キャンペーンを打ってその効果を見極めたりといった施策も収益拡大に貢献したものとみられる。
利益面ではヘアクラブ社買収に伴うのれん・無形固定資産の償却負担でヘアクラブ社は706百万円の営業損失を計上したほか、海外ウィッグ事業全体でも892百万円の営業損失となった。
その他事業 その他事業には美材ルート(美容室を通じたレディメイドかつらなどの販売)、病院内サロン、eコマース事業(ヘアケア製品や通販向けウィッグなど)などが含まれている。
売上高は2,935百万円(前期比8.8%減)、営業損失317百万円(2014年2月期は営業損失476百万円)となった。
女性用ウィッグの需要回復の遅れは美材ルートでの販売にも影を落とし、美材ルート売上高が2,136百万円と前期比9.6%減となったことも要因となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
営業利益は会社予想の4,100百万円に対して1,220百万円の未達となったが、営業外損益において為替差益3,431百万円が計上されたため、経常利益、当期利益は予想に対してそれぞれ1,997百万円、675百万円上回って着地した。
同社がKPI(重要業績評価指標)と位置付けるEBITDA※は7,204百万円と、前期比6.5%の増加となった。
※EBITDA:Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortizationの頭文字。
営業利益+減価償却費+有形固定資産償却費+のれん償却費。
国による税法、金利、会計基準の違いを取り除いた利益の額。
多国籍企業の業績を評価する場合や、異なる国の同業他社間で業績を比較する場合に有用な指標とされる。
今決算のポイントは営業利益の未達である。
この点について同社では、国内事業の積極的展開に向けて広告宣伝や販促活動などへ投資したため販管費が増加したことを営業減益の原因に挙げている。
「国内事業の積極展開」の背景には同社の前向きな投資拡大姿勢という意味合いに加えて、ライバル社との競争激化という側面も含まれていよう。
アデランス (TOKYO:8170)の特徴とも言える海外事業は、主力のヘアクラブ社とボズレー社が順調に売上高を伸ばした。
利益面では、買収したヘアクラブ社ののれんと無形固定資産の償却負担が重く営業損失が続いているが、損失は着実に縮小している。
アデランス事業:男性用オーダーメイドかつら 新規とリピートを合わせた売上高は11,152百万円(前期比5.7%増)となった。
収益の中心となるリピートの売上高は前期比2.5%増にとどまったが、新規売上高は同38.4%増と大きく伸びた。
この分野でもアートネイチャーと激しく争っているが、気軽に部分的増毛感が得られる増毛・活毛商品や育毛サービスについて積極的な広告宣伝・販促費を投入したことが奏功した。
新規客がリピート客へと移行するため、2015年2月期に新規顧客獲得に勢いを取り戻したことの意義は大きい。
アデランス事業:女性用オーダーメイドかつら 女性用かつらは業界全体として消費増税後の需要の戻りが鈍い状況にある。
同社も例外ではなく、需要回復の弱さを感じ取った同社は、全国主要百貨店での展示試着会の開催数増加や新製品投入などの施策を打った。
その結果、オーダーメイドかつら全体の売上高は18,607百万円と前期比5.2%の成長を達成した。
アートネイチャーの当該分野の2015年3月期売上高は前期比10%近いマイナスとなった模様で、それとの比較では同社は十分健闘したと評価できよう。
フォンテーヌ事業 女性用レディメイドかつらを扱うフォンテーヌ事業の売上高は9,433百万円で前期比5.0%増となった。
レディメイドかつらは女性がオーダーメイドかつらに移行する前の入り口的商品という重要な役割を担っている。
同社は百貨店、GMSなどで複数ブランドを展開しているが、2015年2月期は三越伊勢丹 (TOKYO:3099)向け「ルネ オブ パリスbyフォンテーヌ」やイオン (TOKYO:8267)系GMS向けの「スワニーbyフォンテーヌ」の出店を進めて増収を確保した。
ボズレー事業 ボズレー事業の売上高は10,510百万円(前期比12.8%増)、営業利益462百万円(同1.1%増)となった。
現地通貨建て売上高も98.7百万ドル(同3.8%増)と堅調に推移した。
新CMの制作・投入やWeb刷新などが奏功した。
また、「FUE」という手法を用いて自毛の植毛を行う施術にも後発ながらも参入して顧客の選択肢拡大に貢献したことも、施術数増加につながったとみられる。
海外ウィッグ事業 海外ウィッグ事業の売上高は24,086百万円(前期比33.9%増)と大幅に伸長した。
これは2013年4月に買収した米ヘアクラブ社の業績が順調に拡大していることや、欧州市場で医療用ウィッグが堅調に推移したことが大きい。
ヘアクラブ社については、FC店舗を買い取って直営店にしたり、女性用かつらについて試験的に販促キャンペーンを打ってその効果を見極めたりといった施策も収益拡大に貢献したものとみられる。
利益面ではヘアクラブ社買収に伴うのれん・無形固定資産の償却負担でヘアクラブ社は706百万円の営業損失を計上したほか、海外ウィッグ事業全体でも892百万円の営業損失となった。
その他事業 その他事業には美材ルート(美容室を通じたレディメイドかつらなどの販売)、病院内サロン、eコマース事業(ヘアケア製品や通販向けウィッグなど)などが含まれている。
売上高は2,935百万円(前期比8.8%減)、営業損失317百万円(2014年2月期は営業損失476百万円)となった。
女性用ウィッグの需要回復の遅れは美材ルートでの販売にも影を落とし、美材ルート売上高が2,136百万円と前期比9.6%減となったことも要因となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)