*12:03JST 児玉化 Research Memo(3):2024年3月期業績は大幅増益となる見通し(1)
■業績動向
1. 2023年3月期の業績概要
児玉化学工業 (TYO:4222)の2023年3月期業績については、売上高こそ15,389百万円(前期比3.4%増)と増収を確保したものの、営業利益は381百万円(同43.7%減)、経常利益が432百万円(同25.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が189百万円(同54.7%減)と減益を余儀なくされた。
コロナ禍については落ち着いたものの、主要ユーザーである自動車メーカーが半導体不足によって生産が停滞するなど、厳しい収益環境となった。
リビングスペース事業においては、巣籠り需要が一巡したこともマイナス要因になった。
さらに、世界的な原油・原材料の価格高騰がコスト増を招いたこともマイナス要因となっている。
ただ、海外に関しては、急速なタイバーツ高、ベトナムドン高など、プラス要因も目立った。
一方、利益面では、製造拠点の再構築や新規設備導入といった生産体制の見直しの効果がすべての事業で顕在化している。
ただし、前述したように原材料高が懸念材料となった。
モビリティ事業については、タイムリーな値上げによって吸収できたが、リビングスペース事業は値上げが浸透するまでにタイムラグが発生し、収益圧迫要因となった。
セグメント別業績概要は以下のとおりである。
「モビリティ事業」の売上高は9,355百万円(前期比10.7%増)、セグメント利益は320百万円(同28.4%減)となった。
自動車業界では、半導体などの供給不足から生産力ダウンが顕著になり、国内部門は建機農機、中型・大型トラック向けが落ちこんだ。
一方、海外向けは好調で、タイのEcho Autopartsで回復基調となり売上高が増加した。
海外については、現地通貨高もプラスに作用している。
「リビングスペース事業」の売上高は5,192百万円(同1.9%減)、セグメント利益は577百万円(同3.7%増)となった。
国内住宅設備部門では一時は巣ごもり需要でにぎわっていたものの、それが一巡するとともに、住宅リフォーム市場が冷え込んだ。
海外冷機部品事業ではタイのThai Kodamaでは、為替の影響も手伝って円ベースでの売上高が増加となった。
なお、ベトナムのThai Kodama (Vietnam)は引き続き業務用冷蔵庫部品が好調に推移し、売上高は増加した。
「アドバンスド&エッセンシャル事業」の売上高は841百万円(同26.4%減)、セグメント利益は148百万円(同22.1%増)となった。
ゲームソフトパッケージが順調に推移したほか、IT機器事業や植物工場向け事業の売上が寄与している。
ただし、同事業でカウントしていた自動車関連製品をモビリティ事業に移管したため、セグメント売上高は大幅減となった。
2. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期の業績については、売上高が16,500百万円(前期比7.2%増)、営業利益が770百万円(101.8%増)、経常利益が690百万円(同59.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が380百万円(同100.9%増)を見込んでいる。
顧客の収益計画に沿う形で見通しを立てたが、とくに自動車関連については、半導体需給の緩和などの情勢から下期に需要がシフトし、同社の収益も下期に偏重するという。
タイムラグによる値上げ効果があるものの、それだけではなく、全体的に収益の上向きが見込める状況だ。
さらに、後述する事業再生計画が完了した意味も大きい。
ビジネスを進める上での与信枠が拡大するなど、従前よりもビジネスが進めやすくなったことも、目に見えない収益アップの効果を発揮することになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
1. 2023年3月期の業績概要
児玉化学工業 (TYO:4222)の2023年3月期業績については、売上高こそ15,389百万円(前期比3.4%増)と増収を確保したものの、営業利益は381百万円(同43.7%減)、経常利益が432百万円(同25.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が189百万円(同54.7%減)と減益を余儀なくされた。
コロナ禍については落ち着いたものの、主要ユーザーである自動車メーカーが半導体不足によって生産が停滞するなど、厳しい収益環境となった。
リビングスペース事業においては、巣籠り需要が一巡したこともマイナス要因になった。
さらに、世界的な原油・原材料の価格高騰がコスト増を招いたこともマイナス要因となっている。
ただ、海外に関しては、急速なタイバーツ高、ベトナムドン高など、プラス要因も目立った。
一方、利益面では、製造拠点の再構築や新規設備導入といった生産体制の見直しの効果がすべての事業で顕在化している。
ただし、前述したように原材料高が懸念材料となった。
モビリティ事業については、タイムリーな値上げによって吸収できたが、リビングスペース事業は値上げが浸透するまでにタイムラグが発生し、収益圧迫要因となった。
セグメント別業績概要は以下のとおりである。
「モビリティ事業」の売上高は9,355百万円(前期比10.7%増)、セグメント利益は320百万円(同28.4%減)となった。
自動車業界では、半導体などの供給不足から生産力ダウンが顕著になり、国内部門は建機農機、中型・大型トラック向けが落ちこんだ。
一方、海外向けは好調で、タイのEcho Autopartsで回復基調となり売上高が増加した。
海外については、現地通貨高もプラスに作用している。
「リビングスペース事業」の売上高は5,192百万円(同1.9%減)、セグメント利益は577百万円(同3.7%増)となった。
国内住宅設備部門では一時は巣ごもり需要でにぎわっていたものの、それが一巡するとともに、住宅リフォーム市場が冷え込んだ。
海外冷機部品事業ではタイのThai Kodamaでは、為替の影響も手伝って円ベースでの売上高が増加となった。
なお、ベトナムのThai Kodama (Vietnam)は引き続き業務用冷蔵庫部品が好調に推移し、売上高は増加した。
「アドバンスド&エッセンシャル事業」の売上高は841百万円(同26.4%減)、セグメント利益は148百万円(同22.1%増)となった。
ゲームソフトパッケージが順調に推移したほか、IT機器事業や植物工場向け事業の売上が寄与している。
ただし、同事業でカウントしていた自動車関連製品をモビリティ事業に移管したため、セグメント売上高は大幅減となった。
2. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期の業績については、売上高が16,500百万円(前期比7.2%増)、営業利益が770百万円(101.8%増)、経常利益が690百万円(同59.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が380百万円(同100.9%増)を見込んでいる。
顧客の収益計画に沿う形で見通しを立てたが、とくに自動車関連については、半導体需給の緩和などの情勢から下期に需要がシフトし、同社の収益も下期に偏重するという。
タイムラグによる値上げ効果があるものの、それだけではなく、全体的に収益の上向きが見込める状況だ。
さらに、後述する事業再生計画が完了した意味も大きい。
ビジネスを進める上での与信枠が拡大するなど、従前よりもビジネスが進めやすくなったことも、目に見えない収益アップの効果を発揮することになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)