Miho Uranaka
[東京 7日 ロイター] - 中部電力は7日、新型炉開発の米新興企業ニュースケール・パワーへの出資を発表した。国際協力銀行(JBIC)が保有する株式を一部取得する。脱炭素が進む中、二酸化炭素(CO2)を排出しない電源として注目される原子力発電の活用に向け選択肢を確保したい考え。
グローバル事業本部長の佐藤裕紀専務は会見で「次世代型原子炉の技術情報も含めてアクセスできる」と説明し、「将来的に日本で展開されていくことについても期待している」と述べた。佐藤専務によると、ニュースケールへ電力会社がまとまった金額を出資するのは初めて。原発のオペレーターとしてのサポートも検討し、取締役などの派遣についても今後協議するという。
ニュースケールは2022年5月に、特別買収目的会社(SPAC)と合併することでニューヨーク証券取引所に上場。同社の開発する小型モジュール炉(SMR)は米国原子力規制委員会から設計承認を受けており、29年に米アイダホ州での稼働を目指している。
ニュースケールへは、特別目的会社を通じてJBICと共にIHIや日揮ホールディングスも出資し、合わせて8.5%を株式を保有している。今回は、JBIC持分の過半を超えない程度で中部電力が株式を取得する。取得は、米当局の審査を経た約1カ月後の予定。
日本政府は、電源構成の原子力比率を21年度の約7%から30年度には20―22%にするとの方針のもと、廃止を決定した炉の次世代型原子炉への建て替えの具体化を進めることを表明。三菱重工業は30年代に次世代軽水炉、40年代にSMRを完成させる計画を示している。