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ネオジャパンは目先的な売り一巡、24年1月期減益予想だが2Q累計が高進捗で通期上振れ余地

発行済 2023-09-28 09:20
更新済 2023-09-28 09:35
© Reuters.  ネオジャパンは目先的な売り一巡、24年1月期減益予想だが2Q累計が高進捗で通期上振れ余地
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[日本インタビュ新聞社] -  ネオジャパン<3921>(東証プライム)は、自社開発のグループウェアdesknet‘s NEOクラウドサービスを主力として、製品ラインアップ拡充による市場シェア拡大戦略、アライアンス戦略、東南アジア市場開拓戦略を推進している。24年1月期第2四半期累計は広告宣伝費の増加で小幅営業・経常減益だが、売上面はクラウドサービスが堅調に推移して増収と順調だった。なお、第2四半期累計の進捗率は高水準だったが、下期にTVCMなどの広告宣伝投資を実施する計画のため通期減益予想を据え置いている。ただし、クラウドサービスの好調やストック売上の拡大などを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。株価は通期減益予想据え置きを嫌気する形となったが、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。

■自社開発グループウェアのクラウドサービスが主力

 ビジネス・ITコミュニケーションツール開発企業である。自社開発のグループウェアdesknet‘s NEOのクラウドサービス(月額課金収入)を主力に、大企業向け中心のプロダクト(パッケージソフト販売のライセンス収入およびサポートサービス収入)も展開している。

 19年8月にはシステム開発のPro-Spireを子会社化した。22年10月には、現代ビジネスパーソンのコミュニケーション実態を把握・研究すべくNEOビズコミ研究所を新設した。

 海外展開は19年6月米国子会社DELCUIを設立、19年12月マレーシアに合弁会社NEOREKA ASIAを設立、21年2月タイに子会社Neo Thai Asiaを設立した。当面は投資先行だが、ASEAN全域においてグループウェアdesknet‘s NEOブランドの確立を目指す。23年6月には、タイの子会社Neo Thai AsiaがRICOH(THAILAND)と販売代理店パートナー契約を締結した。

 23年1月期売上高構成比は、グループウェアを中心とするビジネスICTツールのソフトウェア事業が70%(クラウドサービスが45%、プロダクトが24%、技術開発が1%)、子会社Pro-Spireのシステム開発サービス事業が30%、海外事業が0%、調整額が▲%、営業利益構成比はソフトウェア事業が99%、システム開発サービス事業が8%、海外事業が▲7%、調整額が▲0%だった。ソフトウェア事業のストック型売上比率は77%(22年1月期は73%)だった。

■グループウェアdesknet‘s NEOは使いやすさが強み

 グループウェアdesknet‘s NEOは、すべての組織のDX推進を支えるオールインワン改善プラットフォームである。ローカライゼーション(日本語、日本の商習慣やビジネス習慣など)に対応した27の基本機能を備え、多機能・使いやすさ・高品質・低価格を強みとしている。

 グループウェアdesknet‘s NEOの累計ユーザー数(クラウド版契約ユーザー数とパッケージ版販売ユーザー数の合計)は、23年1月期末時点で前期末比21万ユーザー増加の484万ユーザーとなった。業種・業態・規模を問わず幅広く企業・官公庁・自治体に採用され、自治体・政府機関1100以上(都道府県庁18含む)に導入されている。中長期的には累計ユーザー数1000万ユーザーを目指すとしている。なお23年1月期末時点のdesknet‘s NEOクラウドのユーザー数は前期末比3.1万人増加の48.3万人となった。解約率は概ね0.2%~0.4%程度で推移している。

 大規模導入事例として、22年7月には、神奈川県横浜市が整備する最大6万人が利用する市区局共通グループウェアとして、desknet‘s NEOが全面的に採用(東芝デジタルソリューションズが市区局共通グループウェア構築事業を受託)された。

■成長戦略

 中期業績目標値には、26年1月期売上高78億75百万円、営業利益16億95百万円、当期純利益11億70百万円、1株当たり利益78円50銭、1株当たり配当31円、配当性向39.5%を掲げている。成長戦略として国内累計販売ユーザー数1000万ユーザー、グループウェア国内トップシェアを目指し、グループウェアdesknet‘s NEOを核とするエンタープライズ向け製品ラインアップ拡充戦略、市場シェア拡大戦略、シナジーが見込めるアライアンスへの戦略投資、マレーシアの合弁会社を拠点とするクラウドサービスの東南アジア市場開拓戦略などを推進している。

 製品ラインアップ拡充戦略としては、ノンプログラムで誰でもWebアプリを簡単に作成できるノーコード業務アプリ作成ツールAppSuite、新しいコミュニケーションツールとしてのセキュリティ特化型ビジネスチャットChatLuckを提供し、グループウェアdesknet‘s NEOとの連携も強化している。

 23年1月には、国や地方自治体、民間企業などが一体となって、日本全国あらゆる人のスキルをアップデートする“リスキング”に取り組む新たな試みである「日本リスキングコンソーシアムに、リスキングパートナーとしてトレーニングプログラムの提供を開始すると発表した。ノーコードツールAppSuiteを使いこなすためのメニューからスタートし、順次追加していく予定としている。

 23年4月には経済産業省のIT導入補助金2023においてIT導入支援事業者として採択され、グループウェアdesknet‘s NEO、ノーコードアプリ作成ツールAppSuite、ビジネスチャットChatLuckが補助金の対象ツールとして認定された。

 なお9月28日より、グループウェアdesknet‘s NEOのChatGPTとの連携機能を搭載した最新バージョンV8.0、およびビジネスチャットChatLuckとChatGPTの連携機能を提供開始する。また24年2月より、グループウェアdesknet‘s NEOのパッケージ版であるスモールライセンスとエンタープライズライセンスを統合、ノーコードアプリ作成ツールAppSuiteのパッケージ版であるスモールライセンスとエンタープライズライセンスを統合し、それぞれパッケージ版ライセンスとして販売開始予定である。

■さまざまな賞を受賞

 23年2月には、法人向けIT製品・サービス比較サイトITトレンドが選出する2022年下半期Good Productバッジにおいて、グループウェアdesknet‘s NEOがグループウェア部門を受賞した。

 23年7月には、アイティクラウドのIT製品比較・レビューサイトであるITreview Grid Awaed 2023 Summerにおいて、グループウェアdesknet‘s NEO、ビジネスチャットChatLuck、ノーコードアプリ作成ツールAppSuiteの主力3製品が8部門で受賞した。

 23年8月には、日経コンピュータ誌(日経BP発行)の「日経コンピュータ顧客満足度調査2023~2024」において、グループウェア/ビジネスチャット部門で第1位を獲得した。

 23年9月にはスマートキャンプ社のBOXIL SaaS AWARD Autumn 2023において、主力3製品がそれぞれ3部門で10の賞を受賞した。

■アライアンスも活用

 22年3月には、東京都多摩市が実施した「令和3年度多摩市民間提案制度」において、desknet‘s NEOとAppSuiteで作成した「ワクチン接種記録等の効率化と工数削減に向けた管理向上」事業が採用候補に認定された。ワクチン関連の行政の業務効率化において採用された事例としては、茨城県つくば市「つくば市新型コロナワクチン配送システム」に続く2例目となる。

 22年5月には、中小企業のDXを支援するAppSuiteアプリ集「ネコの手アプリ」シリーズを提供するシステムアプローチ(愛知県名古屋市)と、AppSuiteアプリの開発・販売活動で連携した。

 22年11月には、横浜市が募集した民間企業のデジタル技術を活用して行政サービスのDX化を進めるプロジェクト「YOKOHAMA Hack!」の第1回実証実験事業者に選定され、横浜市と共同で「要配慮施設利用者の安全を守る避難確保計画の取組強化」の実証実験を開始した。AppSuiteとdesknet‘s NEOを活用する。そして23年4月には実証実験の結果、システム化により作業工数41%削減効果が得られたとリリースしている。

 22年12月には神奈川県鎌倉市の市区局共通の情報共有基盤として、グループウェアdesknet‘s NEO、ビジネスチャットChatLuck、業務アプリ作成ツールAppSuiteの3製品が実証実験を終えて採用決定した。

 23年9月にはフィリピン経済特区庁(PEZA)と、適切なICTシステムの開発と導入に関する基本合意(MOU)を締結した。海外政府機関とのMOU締結は同社にとって初となる。

■サステナビリティ経営

 サステナビリティ経営への取り組みとして22年4月にはバスケットボール女子日本リーグ(Wリーグ)の東京羽田ヴィッキーズとスポンサーシップ契約を締結した。22年11月にはクラウドサービス情報開示認定機関ASPISより、クラウドサービスにおける信頼・安全性の推進に多大なる貢献をしたサービス・事業者として最優秀・資格継続賞を受賞した。08年7月に7番目の事業会社として情報開示認定企業に認定されて以来、この資格を14年維持している。

 23年3月には、経済産業省と日本健康会議が推進する健康経営優良法人認定制度「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」に4年連続で認定された。23年4月には、神奈川県「かながわSDGsパートナー」に認定された。また、横浜市のSDGs認証制度Y-SDGsにおいて上位認証である「Superior(スーペリア)」を取得した。

 さらにESG経営への取り組みを強化するため、23年5月にサステナビリティ委員会を設置、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同を表明した。また23年5月には、芸人や動画クリエイターとしても活躍中の江頭2:50を起用し、グループウェアdesknet‘s NEOのTVCMを全国主要5エリアで放映開始した。なお23年10月29日に開催される横浜マラソン2023に大会協賛予定である。

■上場維持基準適合に向けた計画書

 23年1月31日時点で流通時価総額がプライム市場の上場維持基準に適合しない状況となったため、23年4月26日付で上場維持基準適合に向けた計画を作成・公表した。

 広告宣伝費については26年1月期まで24年1月期と同水準程度の投資を継続するが、認知度向上効果やストック型売上の安定的成長を基盤として業績の向上を図るとともに、株主還元施策の強化、IR活動強化による認知度向上、ESG/サステナビリティへ経営の取り組み強化、流通株式比率の向上などを推進し、企業価値の向上(時価総額の増大)に努めるとしている。計画期間は26年1月末までとしている。

■24年1月期減益予想だが2Q累計が高進捗で通期上振れ余地

 24年1月期の連結業績予想は、売上高が23年1月期比5.9%増の63億59百万円、営業利益が24.4%減の9億37百万円、経常利益が28.8%減の9億51百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が22.6%減の6億29百万円としている。配当予想は23年1月期比3円増配の23円(期末一括)としている。株主優待制度を23年1月末対象で廃止したが、配当については株主優待制度のコスト見合い1円50銭と、さらに1円50銭を加えて合計3円増配としている。23年1月期の年間20円には創立30周年記念配当1円が含まれているため、普通配当ベースでは4円増配となる。8期連続増配予想で予想配当性向は54.5%となる。

 第2四半期累計は売上高が前年同期比9.8%増の32億24百万円、営業利益が1.3%減の6億02百万円、経常利益が5.8%減の6億47百万円だった。広告宣伝費の増加で小幅営業・経常減益だが、売上面はクラウドサービスが堅調に推移して増収と順調だった。親会社株主帰属四半期純利益は投資有価証券売却益38百万円を計上して4.1%増の4億81百万円だった。

 ソフトウェア事業(クラウドサービス、プロダクト、技術開発の合計)は売上高が9.5%増の22億44百万円、セグメント利益(調整前営業利益)が11.6%減の5億62百万円だった。

 クラウドサービスの売上高は10.5%増の14億46百万円で、内訳はグループウェアdesknet‘s NEOクラウドが10.1%増の12億02百万円、ノーコード業務アプリ作成ツールAppSuiteクラウドが31.4%増の82百万円、ビジネスチャットChatLuckクラウドが3.7%増の35百万円、その他月額売上が2.2%増の1億円、その他役務作業等が19.2%増の25百万円だった。

 プロダクトの売上高は8.4%増の7億63百万円だった。内訳はライセンス売上合計が14.8%増の2億03百万円、サポートサービスが5.4%増の4億15百万円、カスタマイズが102.9%増の69百万円、その他役務作業等が23.9%減の74百万円だった。技術開発は積極的な受注活動を行っていないため、売上高は7.8%減の35百万円だった。

 なお、グループウェアdesknet‘s NEOのプロダクト累計販売数(ASP除く)は426.1万ユーザー、クラウドのユーザー数は51.4万人、ノーコード業務アプリ作成ツールAppSuiteのプロダクト累計販売数は23.2万人、クラウドユーザー数は5.1万人となった。

 システム開発サービス事業(子会社Pro-SPIRE)は、売上高が11.2%増の9億92百万円、セグメント利益が58.0%増の28百万円だった。主要顧客の体制縮小の影響で減収傾向が続いていたが、前期第4四半期から回復傾向となっている。海外事業は売上高が68百万円(前年同期は5百万円)となり、セグメント利益は7百万円の黒字(同43百万円の損失)に転換した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高16億45百万円で営業利益3億93百万円、第2四半期は売上高15億79百万円で営業利益2億09百万円だった。

 通期連結業績予想は据え置いている。売上面はクラウドサービスが牽引して増収だが、利益面は認知度向上に向けてTVCMなどの広告宣伝投資を継続するため広告宣伝費が増加することに加えて、従来以上の賃上げに伴う人件費増加なども影響して減益予想としている。

 なお第2四半期の進捗率は売上高51%、営業利益64%、経常利益68%、親会社株主帰属当期純利益76%と高水準だが、下期にTVCMなどの広告宣伝投資を実施する計画(広告宣伝費の通期計画は前期比約3億30百万円増加の約7億30百万円で、上期実績は同1億74百万円増加の3億20百万円)のため通期減益予想を据え置いている。ただし、クラウドサービスの好調やストック売上の拡大などを勘案すれば、通期会社予想に上振れ余地がありそうだ。積極的な事業展開で収益拡大基調を期待したい。

■株価は目先的な売り一巡

 株価は通期減益予想の据え置きを嫌気する形となったが、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。9月27日の終値は1034円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS42円20銭で算出)は約25倍、今期予想配当利回り(会社予想の23円で算出)は約2.2%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS383円36銭で算出)は約2.7倍、そして時価総額は約154億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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