David Shepardson Joseph White
[デトロイト 11日 ロイター] - 全米自動車労働組合(UAW)は11日、ケンタッキー州にあるフォード・モーター最大のトラック工場で組合員8700人がストライキに入ったと発表した。フォードが労使交渉を進めることを拒否したとしている。
米3大自動車メーカー(ビッグ3)を標的にしたストが4週目に入る中、事態が大きくエスカレートした。
同工場は年間売上高250億ドルで、フォードの世界自動車売上高の約6分の1を占める。
フォードの株価は11日に0.4%上昇して引けた後、時間外取引で約2%下落した。
フォードの関係者によると、11日のストは事前の警告がなく、フォードとUAWの交渉担当者が見解の相違解決に取り組む中で起きた。
UAW幹部が11日にフォードとの会議を招集し、新たな提案を要求。フォード側に新たな提案はなく、フェイン氏は「あなた方は今、ケンタッキーのトラック(工場)を失った」と述べたという。
ショーン・フェインUAW委員長は過去4週間、金曜日にビデオ演説で新たなストを発表してきた。
同氏は今回のスト発表後、「このように違ったやり方を選択せざるを得なかった」と説明。「もし各社がテーブルに着き、組合員のニーズに応えようとしないのであれば、われわれは対応する」と述べた。
フォードはUAWの決定について、「極めて無責任」とした上で、イメージ悪化と産業の混乱によってビッグ3を数カ月にわたり苦しめるという組合指導部の戦略を踏まえれば驚きはないと述べた。
カリフォルニア大学バークレー校のハーリー・シェイケン教授は「非常に収益性の高い工場で、全く通知が行われなかったため特に混乱を招くだろう」と指摘。「これは利益に打撃を与える大きな動きだ。労組が昼夜を問わずストをエスカレートさせる可能性があることを示す。双方にとって未知の領域だ」と語った。
UAWは6日、ゼネラル・モーターズ(GM)との交渉が進展しているとして、ビッグ3に対するスト拡大を見送っていた。
GMとUAWは今週、詳細な条件について話し合っている。
ケンタッキー州でのストはGM、クライスラーの親会社ステランティスに対する警告でもある。これまでに明らかになっている概要によると、両社の賃金・福利厚生案はフォードの内容を下回っている。
関係筋によると、UAWとステランティスは12日に交渉する予定となっている。