Alistair Smout
[ロンドン 26日 ロイター] - スナク英首相は27日、海外直接投資(FDI)の誘致に向け多国籍企業の幹部らを招いて開催した投資サミットで、海外の民間企業が同国に295億ポンド(368億ドル)を投資すると発表した。
政府は先週、工場・機械の近代化に対する優遇税制を恒久化すると発表した。
首相官邸によると、オーストラリアのファンドであるIFMインベスターズとアウェア・スーパーが、インフラ、エネルギー移行、手頃な価格の住宅など多岐にわたるプロジェクトにそれぞれ100億ポンド、50億ポンドを投資する。
IFMは投資額を当初計画していた30億ポンドから大幅に引き上げた。
スペインの電力大手イベルドローラも、送配電網など英国への投資を70億ポンド拡大するほか、米マイクロソフトも人工知能(AI)インフラに25億ポンドを投資する。イベルドローラは2028年までに英国に140億ユーロ近くを投資する見通しだとした。
スナク首相はロンドンのハンプトン・コート宮殿で開いた投資サミットで「あなた方が英国への投資を決めたことは、この国の将来に対する大きな信任投票だ」と強調した。
英国を巡っては、欧州連合(EU)離脱を受けた政治や規制の不透明感で投資先としての魅力が低下したとの声が出ており、欧州ではフランスが英国を抜いて新規のFDIプロジェクト件数で首位となった。
スナク氏は、クリーンエネルギー、生命科学、先端技術といった産業への新たな投資は全国で質の高い雇用を創出すると指摘。
投資サミットには、米投資会社ブラックストーンのスティーブン・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)、米金融大手ゴールドマン・サックスのデービッド・ソロモンCEO、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEO、英保険大手アビバのアマンダ・ブランクCEOらが参加した。
スナク氏はポンドがドルのような準備通貨ではないため、財政赤字を伴う大型補助金政策は好ましくないと指摘。「補助金競争が合理的だとは思わない。政府の役割は規制などの手段を使って民間部門が必要な投資をできるような環境をつくることだ」と強調した。
同日夜にはチャールズ国王がバッキンガム宮殿で関連の歓迎行事を開催。カタールとアラブ首長国連邦(UAE)アブダビの政府系ファンド(SWF)のトップや日産の内田誠CEOと面会した。