[17日 ロイター] - 遺伝子解析会社の米イルミナは17日、がん診断技術を手がける子会社のグレイルを売却すると発表した。第三者への譲渡もしくは資本市場の取引を通じて売却する。売却の条件は来年第2・四半期までに最終決定する。
イルミナは2016年にグレイルをスピンオフ(分離・独立)したが、グレイル株の12%を維持し、21年に再び買収した。その際、グレイルの企業価値は71億ドルと評価されていた。
グレイルは多種類のがんを診断できる血液検査技術の販売を目指している。
イルミナは過去2年余りにわたり、米国と欧州で反トラスト法執行当局との係争を続けてきた。
米連邦取引委員会(FTC)はイルミナが販売価格をつり上げたり、グレイルの競争相手への販売を拒否したりする恐れがあると懸念し、訴訟を起こしていた。
米連邦高裁は15日、イルミナのグレイル買収が競争を緩めることを示し、規制当局が買収を阻止するための新たな法的戦略を追求することに門戸を開く重大な証拠をFTCが握っていると指摘。イルミナのグレイル買収について改めて調査するようFTCに命じた。
一方で欧州連合(EU)はイルミナにグレイル買収を撤回するよう勧告。欧州委員会は今年7月、イルミナが欧州委の承認を待たずにグレイルを買収したとして、EUの反トラスト法に基づく制裁金としては過去最高額となる4億3200万ユーロ(4億7100万ドル)の制裁金を科した。