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アングル:需給主導で早くも「昇り竜」相場、海外勢の勢いどこまで

発行済 2024-01-10 16:31
更新済 2024-01-10 16:36
© Reuters.  1月10日、 日本の株価が意外高を演じている。都内の株価ボード前で2022年12月撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)
USD/JPY
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Noriyuki Hirata

[東京 10日 ロイター] - 日本の株価が意外高を演じている。日経平均は昨年末からの上げ幅が約1000円となり、連日のバブル後高値更新となった。ここにきての急上昇の背景にはファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の改善というよりも、海外株との比較感による出遅れ修正の側面が強い。海外勢の買いなど需給主導とみられ「昇り竜」相場の勢いがいつまで続くのか、慎重にみる参加者もいる。

<出遅れの修正>

「このタイミングで日経平均やTOPIXがザラ場のバブル後高値を更新したのは、米株高に対する出遅れ修正の側面が強いだろう」と、りそなアセットマネジメントの戸田浩司ファンドマネージャーは話す。

米国では、昨年末に早期利下げへの思惑が強まって長期金利が低下、ハイテク株高となっていたが、日銀の早期正常化への思惑から円高警戒が一部でくすぶり、日本株は追随できていなかった。

それが年明け以降、能登半島地震の発生や、物価上昇に賃金の伸びが追いつかないことを示す経済指標の発表などを経て日銀の早期正常化の思惑が後退し、円高警戒が和らいだ。

<海外勢の買い誘発>

もともと、日本株の材料としては、継続的な賃上げによるデフレ脱却や東証による企業改革要請の効果、新NISA(少額投資非課税制度)マネーの流入などへの期待は根強かった。そこに、需給面からの押し上げが加わった形だ。

JPモルガン証券の高田将成クオンツ・ストラテジストは、長らく抜けなかった節目の3万4000円を上回ったことで「これまで買いを控えていたCTA(商品投資顧問業者)などの機械的なアルゴリズムプレイヤーが参戦したようだ」と指摘する。

日経平均は昨年春先の急上昇以降、3万4000円の手前で伸び悩む場面が続いていた。これを上抜けたことで機械的な買いが入ったほか、レンジ推移を前提としたトレードを慌てて手仕舞う動きなどが上昇に弾みをつけたようだ。

日銀の早期正常化への思惑が後退し円高リスクが和らいだことで、これまで手控えていた海外勢の買いが誘発されたとみられている。

加えて、オイルマネーが改めて存在感を示した。

サウジアラビアの政府系ファンド、パブリック・インベストメント・ファンドがゲーム関連のコーエーテクモホールディングス株を買い増したことが9日提出の変更報告書で分かった。連想買いが膨らみ、任天堂が連日の高値となり、相場全体の盛り上げに一役買った。

もっとも、今回の上昇は、「ファンダメンタルズの変化より、需給主導の側面が強い印象」(水戸証券の酒井一チーフファンドマネージャー)との声は多い。もう一段の押し上げには、日本サイドの要因としては「ポジティブなカタリストが必要」(JPモルガンの高田氏)だとして、春闘による連続賃上げなどの実績待ちとの見方もある。

(平田紀之 編集:橋本浩)

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