[シンガポール/ロンドン 11日 ロイター] - 暗号資産(仮想通貨)ビットコインは11日の取引で、2022年3月以来の高値付近で推移している。
米証券取引委員会(SEC)は10日、ビットコインの現物に連動する上場投資信託(ETF)11本を承認したと発表した。米国でビットコイン現物ETFが承認されるのは初めて。
ブラックロック、アーク・インベストメンツ/21シェアーズ、フィデリティ、インベスコ、VanEckなどの申請を承認。
このうち、ブラックロックのETFなど3本は11日0930GMT(日本時間同日午後6時半)時点で取引が行われている。11日中にさらに多くのETFの取引が始まるとみられる。
ビットコインは前日比0.6%高の4万6250ドル前後。ETF承認への期待を背景に今週値上がりした分を維持している。今年は9%近く上昇。9日には22年3月以来の高値となる4万7915ドルを付けた。
昨年は156%上昇した。
コインベース・インスティテューショナルのブレット・テジポール氏は「承認は暗号資産市場の進化において極めて重要な瞬間」と指摘。「大手資産運用会社がこの商品を通じて多くの人々にデジタル資産の世界を提供することで、業界の成長が促進され、多額の新たな資本が流入する」と語った。
ドイツ銀行リサーチのシニアストラテジスト、マリオン・ラブール氏は「暗号資産のエコシステムと金融システムにさらなる転機をもたらすかは、時間が経たなければ分からない。ETFの承認でビットコイン相場の新たな章が始まるが、不安定な値動きが続く可能性が高い」と述べた。
市場の関心はイーサに移りつつある。ブラックロックは昨年11月、イーサリアム現物ETFの上場を申請している。
イーサは11日に一時4.4%上昇し、22年5月以来の高値となる2638ドルを付けた。
<承認発表前に手数料下げ>
SECの承認発表に先立ち、ブラックロックとアーク・インベストメント・マネジメントはビットコイン現物ETFの手数料を引き下げた。
ブラックロックの「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト」は0.30%から0.25%に、「アーク・21シェアーズ・ビットコインETF」は0.25%から0.21%に、それぞれ引き下げられた。
アナリストらは、これらのETFは全て基本的に同じリターンを提供するよう設計されているため、手数料が新規資金流入を左右すると指摘している。