*10:29JST アメリカがやっと気づいた「中国は戦争をしなくても台湾統一ができる」という脅威【中国問題グローバル研究所】
◇以下、中国問題グローバル研究所のホームページ(※1)でも配信している遠藤 誉所長の考察をお届けする。
5月13日、アメリカン・エンタープライズ研究所と戦争研究所の共同プロジェクトである台湾連合防衛プロジェクトは、「中国は軍事侵攻ではない形で台湾統一をするつもりで、われわれは長いこと、それを見逃してきた」という趣旨の共同報告書を発表した。
同日、アメリカメディアのTHE HILLも「中国は台湾統一をするために(台湾を)侵略する必要はない」というタイトルでこの報告書を報道。
これは正に筆者が長年にわたって主張し、警鐘を鳴らし続けてきた分析とほぼ完全に一致しており、アメリカがやっとその事に気が付いてくれたかと、感慨深い。
5月23日のコラム(※7)という見出しで報道している。
準拠する法は、日本の海上保安庁法(※8)第十七条にもある「疑義がある場合」の「船舶の進行を停止させて立ち入り検査」をする権利と同じで、中華人民共和国海警法(※9)第十六条 や第十八条にある立ち入り検査をする権利に基づくものと思われる。
これにより、たとえば台湾に武器やエネルギー資源を輸送する船舶などにターゲットを絞って運行を停止させ、事実上の海上封鎖を行うに等しい行動に出るものと推測される。
◆習近平の哲理「兵不血刃(ひょうふ・けつじん)」
筆者は昨年『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』で習近平の哲理である「兵不血刃」に関して詳述した。
これは「刃(やいば)に血塗らずして勝つ」という意味で、毛沢東もこの哲理に基づいて「長春食糧封鎖」を断行し、数十万に及ぶ長春市内の一般庶民を餓死に追いやって、国民党が支配する長春を陥落させた。
この長春陥落によって、中国共産党軍は一気に南下して、全中国解放を成し遂げるに至ったのである。
この国共内戦における蒋介石率いる国民党の逃れた先が台湾で、筆者にとって台湾は、あの『もう一つのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』の終着点でもある。
だから中国共産党がいかにして「チャーズ」の終着駅である台湾問題を解決させるかは、筆者の生涯の強い関心事でもあるのだ。
その執念に基づいて追いかけてきた台湾問題に関して、筆者が結論に至った「台湾港湾封鎖作戦」が、奇しくもアメリカのシンクタンクの分析と一致したことに、言葉には表せないほどの複雑で深い感慨を覚える。
「台湾有事」とはしゃがずに、一人でも多くの日本人が、筆者とアメリカのシンクタンクが一致したこの視点を共有してくれることを望まずにはいられない。
そうしてこそ、真の警鐘を鳴らすことができると信じるのである。
なお、『嗤う習近平の白い牙』の「白い牙(きば)」は、「兵不血刃」の構えを表しており、「牙を血で紅く染めない(=野心はあるが、自ら積極的に戦争はしない)」の意味である。
この論考はYahoo(※10)から転載しました。
写真: 習近平国家主席(ロイター/アフロ)
(※1)https://grici.or.jp/
(※2)https://grici.or.jp/5258
(※3)https://www.aei.org/research-products/report/from-coercion-to-capitulation-how-china-can-take-taiwan-without-a-war/
(※4)https://thehill.com/opinion/international/4657439-china-doesnt-need-to-invade-to-achieve-taiwanese-unification/
(※5)https://www.moeaea.gov.tw/ECW/populace/content/Content.aspx?menu_id=14437
(※6)https://ec.ltn.com.tw/article/paper/1592848
(※7)https://news.cctv.com/2024/05/24/ARTINDoASE8etSa06Wf1WOJV240524.shtml
(※8)https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000028
(※9)http://legal.people.com.cn/n1/2021/0202/c42510-32019526.html
(※10)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/cb76207f7cf4ea0ef222967c9fb398d2b34f728e
<CS>
5月13日、アメリカン・エンタープライズ研究所と戦争研究所の共同プロジェクトである台湾連合防衛プロジェクトは、「中国は軍事侵攻ではない形で台湾統一をするつもりで、われわれは長いこと、それを見逃してきた」という趣旨の共同報告書を発表した。
同日、アメリカメディアのTHE HILLも「中国は台湾統一をするために(台湾を)侵略する必要はない」というタイトルでこの報告書を報道。
これは正に筆者が長年にわたって主張し、警鐘を鳴らし続けてきた分析とほぼ完全に一致しており、アメリカがやっとその事に気が付いてくれたかと、感慨深い。
5月23日のコラム(※7)という見出しで報道している。
準拠する法は、日本の海上保安庁法(※8)第十七条にもある「疑義がある場合」の「船舶の進行を停止させて立ち入り検査」をする権利と同じで、中華人民共和国海警法(※9)第十六条 や第十八条にある立ち入り検査をする権利に基づくものと思われる。
これにより、たとえば台湾に武器やエネルギー資源を輸送する船舶などにターゲットを絞って運行を停止させ、事実上の海上封鎖を行うに等しい行動に出るものと推測される。
◆習近平の哲理「兵不血刃(ひょうふ・けつじん)」
筆者は昨年『習近平が狙う「米一極から多極化へ」 台湾有事を創り出すのはCIAだ!』で習近平の哲理である「兵不血刃」に関して詳述した。
これは「刃(やいば)に血塗らずして勝つ」という意味で、毛沢東もこの哲理に基づいて「長春食糧封鎖」を断行し、数十万に及ぶ長春市内の一般庶民を餓死に追いやって、国民党が支配する長春を陥落させた。
この長春陥落によって、中国共産党軍は一気に南下して、全中国解放を成し遂げるに至ったのである。
この国共内戦における蒋介石率いる国民党の逃れた先が台湾で、筆者にとって台湾は、あの『もう一つのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』の終着点でもある。
だから中国共産党がいかにして「チャーズ」の終着駅である台湾問題を解決させるかは、筆者の生涯の強い関心事でもあるのだ。
その執念に基づいて追いかけてきた台湾問題に関して、筆者が結論に至った「台湾港湾封鎖作戦」が、奇しくもアメリカのシンクタンクの分析と一致したことに、言葉には表せないほどの複雑で深い感慨を覚える。
「台湾有事」とはしゃがずに、一人でも多くの日本人が、筆者とアメリカのシンクタンクが一致したこの視点を共有してくれることを望まずにはいられない。
そうしてこそ、真の警鐘を鳴らすことができると信じるのである。
なお、『嗤う習近平の白い牙』の「白い牙(きば)」は、「兵不血刃」の構えを表しており、「牙を血で紅く染めない(=野心はあるが、自ら積極的に戦争はしない)」の意味である。
この論考はYahoo(※10)から転載しました。
写真: 習近平国家主席(ロイター/アフロ)
(※1)https://grici.or.jp/
(※2)https://grici.or.jp/5258
(※3)https://www.aei.org/research-products/report/from-coercion-to-capitulation-how-china-can-take-taiwan-without-a-war/
(※4)https://thehill.com/opinion/international/4657439-china-doesnt-need-to-invade-to-achieve-taiwanese-unification/
(※5)https://www.moeaea.gov.tw/ECW/populace/content/Content.aspx?menu_id=14437
(※6)https://ec.ltn.com.tw/article/paper/1592848
(※7)https://news.cctv.com/2024/05/24/ARTINDoASE8etSa06Wf1WOJV240524.shtml
(※8)https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000028
(※9)http://legal.people.com.cn/n1/2021/0202/c42510-32019526.html
(※10)https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/cb76207f7cf4ea0ef222967c9fb398d2b34f728e
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