*12:09JST エージェント・インシュアランス・グループ Research Memo(9):2025年12月期以降も事業拡大が見込まれる
■今後の見通し
1. 2024年12月期の業績見通し
エージェント・インシュアランス・グループの2024年12月期の連結業績は、期初に計画した営業収益で前期比118.8%増の7,763百万円、営業利益で同77.1%増の274百万円を現時点では据え置いている。
ただし、上期の業績進捗は期初の会社想定を上回っているとみられ、業績の上振れへの期待も高まる内容だ。
また、2024年4月には同社グループよりも事業規模の大きい、生命保険を主軸とする総合保険代理店ファイナンシャル・ジャパンの全株式をSBI新生銀行から取得した。
ファイナンシャル・ジャパンの業績が連結決算へ影響するのは2024年12月期第3四半期以降となり、当期連結業績予想に含めている。
また、引き続き保険会社とのさらなる関係強化を図りながら、マーケット拡大に向けた保険代理店のM&A及び事業承継を推進する。
これまでは、中小規模かつ保険代理店を専業とする専業代理店を中心にM&A及び事業承継を行っていたが、今後は1件1件のM&A及び事業承継規模の拡大に加えて、自動車ディーラーや不動産販売等の他の事業とあわせて保険販売を行う兼業代理店のM&A及び事業承継も積極的に行う。
今後、さらなる保有マーケット拡大に向け、生命保険代理店のM&A及び事業承継、そしてアップセル・クロスセルを推進し、新規契約の増加を図る計画だ。
ファイナンシャル・ジャパンの売上成長を維持しながら、いかに利益率向上を進めるかがカギに
2. 中長期成長戦略の進捗状況と業界を取り巻く環境
2025年12月期以降に向けての最大の注目点は買収したファイナンシャル・ジャパンの業績貢献だ。
2025年12月期より通年での業績寄与となるが、弊社では保守的にみても営業収益12,000百万円、営業利益600百万円、営業利益率5.0%の貢献は期待できると考えている(買収に伴うのれん償却費も含めている)。
現在は将来の業績拡大に向けて資金投下フェーズにあると考え、適正な利益率は6~7%程度であるとの見解を示しているが、上場する同業他社の生保代理店では営業利益率が20%程度に達している事例もあり、今後、中長期的な視点で収益性の拡大ポテンシャルは非常に大きいと弊社では考えている。
募集人のアップセル・クロスセルの強化による1人当たり営業収益の拡大などが今後の注目点となろう。
また、別の注目点として、中古車大手ビッグモーターによる保険金の水増し請求など相次ぐ不祥事を受け、金融庁は「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」を開催、6月25日に報告書が公表されたことが挙げられる。
今後、「兼業代理店の禁止」といった業界構造の大きな変革につながるような制度変更が金融庁により検討される可能性もある。
国内損害保険市場9.1兆円のうち、兼業代理店が5.6兆円を占めており、仮に米国のように兼業代理店が禁止となれば保険販売からの収益で一定の利益を上げている中古車販売業界やハウスメーカーなどには打撃となるが、同社のような専業代理店にとっては大きな事業機会となる可能性があるため今後の動向に注目したい。
また、同社では2025年7月を目途に持株会社に移行するための検討を開始した。
今後、持株会社化により買収したファイナンシャル・ジャパンとの費用共通化などによるコスト削減効果も中長期的な視点で期待されるだろう。
現在、営業収益の大半が国内の損害保険代理店事業で構成されているが、今回のファイナンシャル・ジャパン買収によって、国内損害保険代理店、生命保険代理店、そして海外事業が将来の事業の柱となるイメージがより具体的に描きやすくなったと言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)
1. 2024年12月期の業績見通し
エージェント・インシュアランス・グループの2024年12月期の連結業績は、期初に計画した営業収益で前期比118.8%増の7,763百万円、営業利益で同77.1%増の274百万円を現時点では据え置いている。
ただし、上期の業績進捗は期初の会社想定を上回っているとみられ、業績の上振れへの期待も高まる内容だ。
また、2024年4月には同社グループよりも事業規模の大きい、生命保険を主軸とする総合保険代理店ファイナンシャル・ジャパンの全株式をSBI新生銀行から取得した。
ファイナンシャル・ジャパンの業績が連結決算へ影響するのは2024年12月期第3四半期以降となり、当期連結業績予想に含めている。
また、引き続き保険会社とのさらなる関係強化を図りながら、マーケット拡大に向けた保険代理店のM&A及び事業承継を推進する。
これまでは、中小規模かつ保険代理店を専業とする専業代理店を中心にM&A及び事業承継を行っていたが、今後は1件1件のM&A及び事業承継規模の拡大に加えて、自動車ディーラーや不動産販売等の他の事業とあわせて保険販売を行う兼業代理店のM&A及び事業承継も積極的に行う。
今後、さらなる保有マーケット拡大に向け、生命保険代理店のM&A及び事業承継、そしてアップセル・クロスセルを推進し、新規契約の増加を図る計画だ。
ファイナンシャル・ジャパンの売上成長を維持しながら、いかに利益率向上を進めるかがカギに
2. 中長期成長戦略の進捗状況と業界を取り巻く環境
2025年12月期以降に向けての最大の注目点は買収したファイナンシャル・ジャパンの業績貢献だ。
2025年12月期より通年での業績寄与となるが、弊社では保守的にみても営業収益12,000百万円、営業利益600百万円、営業利益率5.0%の貢献は期待できると考えている(買収に伴うのれん償却費も含めている)。
現在は将来の業績拡大に向けて資金投下フェーズにあると考え、適正な利益率は6~7%程度であるとの見解を示しているが、上場する同業他社の生保代理店では営業利益率が20%程度に達している事例もあり、今後、中長期的な視点で収益性の拡大ポテンシャルは非常に大きいと弊社では考えている。
募集人のアップセル・クロスセルの強化による1人当たり営業収益の拡大などが今後の注目点となろう。
また、別の注目点として、中古車大手ビッグモーターによる保険金の水増し請求など相次ぐ不祥事を受け、金融庁は「損害保険業の構造的課題と競争のあり方に関する有識者会議」を開催、6月25日に報告書が公表されたことが挙げられる。
今後、「兼業代理店の禁止」といった業界構造の大きな変革につながるような制度変更が金融庁により検討される可能性もある。
国内損害保険市場9.1兆円のうち、兼業代理店が5.6兆円を占めており、仮に米国のように兼業代理店が禁止となれば保険販売からの収益で一定の利益を上げている中古車販売業界やハウスメーカーなどには打撃となるが、同社のような専業代理店にとっては大きな事業機会となる可能性があるため今後の動向に注目したい。
また、同社では2025年7月を目途に持株会社に移行するための検討を開始した。
今後、持株会社化により買収したファイナンシャル・ジャパンとの費用共通化などによるコスト削減効果も中長期的な視点で期待されるだろう。
現在、営業収益の大半が国内の損害保険代理店事業で構成されているが、今回のファイナンシャル・ジャパン買収によって、国内損害保険代理店、生命保険代理店、そして海外事業が将来の事業の柱となるイメージがより具体的に描きやすくなったと言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)