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Eギャランティ Research Memo(6):2026年3月期以降は2ケタ増益基調に復帰する見通し

発行済 2024-10-02 12:06
更新済 2024-10-02 12:15
© Reuters.
*12:06JST Eギャランティ Research Memo(6):2026年3月期以降は2ケタ増益基調に復帰する見通し ■イー・ギャランティ (TYO:8771)の今後の見通し

1. 2025年3月期の業績見通し
2025年3月期の連結業績は、売上高で前期比10.2%増の10,100百万円、営業利益で同5.2%増の5,100百万円、経常利益で同6.1%増の5,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同5.7%増の3,450百万円と23期連続の増収増益を見込む。
増益率が1ケタ台に鈍化するが、これは積極的な人材投資により人件費で同3億円程度の増加を見込んでいることが主因だ。
2024年4月に過去最多となる新卒社員47名を採用したほか、既存社員の賃上げ等を実施する。
売上原価率は同横ばい水準を想定している。


2024年8月に発表した第1四半期の業績は、売上高で前年同期比7.4%増の2,406百万円、営業利益で同1.5%増の1,168百万円と増収増益を確保し、計画どおりの進捗となった。
円安や物価上昇、人手不足、ゼロゼロ融資の返済開始に伴う資金繰りの悪化などにより、サービス業や小売業、建設業などの中小零細企業を中心に倒産件数が同23.8%増の2,583件と増加傾向が続き、売上債権の保全ニーズが高まるなかで、第1四半期末の保証債務は同11.6%増の7,802百万円と2ケタ成長が続いた。
一方、平均保証料率が約1.3%と前年同期の水準をやや下回ったことで、増収率は1ケタ台に留まった。
新規契約分の保証料率は前年同期の水準よりも高くなっているが、前期以前に契約した案件がまだ売上高の過半を占めているため、平均で見ると低い水準となった。
ただ、直近の平均保証料率は横ばい水準で推移しており、新規契約分の構成比が上昇する下期以降は前年同期の水準を上回ること、また保証債務のさらなる積み上げが見込まれることもあり、増収率は2ケタ増ペースに復帰する見通しだ。


営業利益率は48.5%と前年同期比2.9ポイント低下した。
保証対象企業の倒産によって保証履行件数が増加※したことや支払保証料率の上昇等により売上原価率が同6.0ポイント上昇したためだ。
ただ、保証履行件数については前期に実施したポートフォリオ入れ替えの効果により、第1四半期をピークとして第2四半期以降は減少する見込みだ。
一方、販管費率については同3.2ポイント低下し、金額ベースでも23百万円減少した。
これは賞与の支給時期が第2四半期になったためで(前期は第1四半期に計上)、影響額は約70百万円である。
同影響を除いたベースでも0.3ポイントの改善となっており、DX推進による業務効率向上の効果が継続していると考えられる。


※ 保証履行の増加によってリスク移転先となる持分法適用関連会社の収益も悪化し、営業外で計上している持分法による投資損益も前年同期比で2百万円悪化した。


第2四半期以降の市場環境は、日銀の金融政策転換による金利上昇が想定されるなかで、買い手企業は資金繰りのための借入れを行うよりも、売り手企業に対して後払いを依頼したり、支払いサイトの延長交渉を行う行動に出ると考えられる。
その結果、売上債権の保全ニーズが高まり、同社サービスに対する引き合いも一段と増加していくものと予想される。
借入金利が0.5%上がるだけで新たに3.8%の企業が赤字転落するという試算もあり、とりわけ経営体力の弱い中小企業の倒産件数は今後も増加傾向が続く見通しだ。


また、人手不足を背景に企業における与信管理業務のアウトソーシングニーズも拡大傾向にあり、こうしたニーズを同社の包括保証サービスを提供することで取り込んでいく。
保証対象先を複数まとめた包括保証サービスの引き合いは強く、これらを含めた全体の保証残高は第1四半期末で前年同期比30.3%増の1兆5,120億円と高成長が続いている。


同社ではこうした需要に応えられるだけの営業リソースが不足していると認識しており、積極的な人材採用とIT活用による戦力化までの期間短縮、成約率の向上など営業の効率化を図り、保証債務の積み上げを図る方針だ。
なお、2024年4月時点で新卒社員47名(前年は31名)が入社しており、うち40名(同26名)が営業部に配属となった。
2025年度の新卒採用は50名程度を予定しており、内定数もほぼ同水準に達しているようだ。


若手社員が戦力化するまでの期間は数年前までは3~4年かかっていたが、パターン化された販売方法やITを活用した営業活動を体系化した教育研修を行うことで、直近は1.5~2年程度まで短縮化が進んだ。
教育研修については、営業と管理部門の中間組織のような役割を持つ部署を新設し、経験の浅い社員のサポートや商品知識に関する研修、ロールプレイングによる指導のほか、習熟度を測るテストなどを実施して早期戦力化に取り組んでいる。


また、顧客獲得チャネルの深耕・拡充にも取り組む。
提携金融機関数は2021年の87社から2024年は92社と増加率が5.8%に留まっているが、営業人員数がこの間、65%増加したことで顧客引合数も約1.6倍に増加した。
同社は、営業人員不足により、提携金融機関の顧客に対する十分なアプローチができていなかったと考えており、今後も営業リソースを拡充していくことで、既存提携先との連携を強化し顧客獲得件数を増やすとともに、新規提携先を開拓し、さらなる成長を目指す。
現状、提携済みの金融機関でも動きの鈍い提携先が半分程度あるが、営業リソース不足が一因と見られ、こうした課題を解消することで活性化を図る。
地方銀行や信用金庫なども経営環境が厳しいなか新たな収益源の拡充に取り組んでおり、同社サービスを顧客企業に紹介するメリットは大きい。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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