*12:07JST Eギャランティ Research Memo(7):積極的な事業展開により2028年3月期に経常利益で100億円を目指す
■イー・ギャランティ (TYO:8771)の今後の見通し
2. 中期経営計画
(1) 計画策定の背景
同社は2024年6月に4ヶ年の中期経営計画「Accelerate2028」を発表した。
企業倒産件数の増加や金利の上昇、労働人口の減少など外部環境が変化し、企業における売掛債権保全ニーズや与信管理業務のアウトソーシングニーズが高まるなど外部環境の変化を好機と捉え、営業リソースの拡充や営業基盤の拡張、同社独自の企業データベースを生かすことで収益成長を加速していく。
(2) 経営数値目標
経営数値目標としては、2028年3月期に売上高200億円、経常利益100億円、ROE20%以上、ROIC20%以上を掲げ、株主還元方針としては配当性向50%以上、DOEで継続的な向上を目指す。
従来は5~6年で経常利益を約2倍に拡大してきたが、今回の計画では4年間で2倍以上の成長を目指す。
年平均成長率では19.5%と直近4年間の実績(15.5%)を上回るが、中期経営計画の前半は営業リソースの拡充など先行投資を実施するため、利益成長は後半にかけて加速していく計画だ。
弊社では売掛債権保証サービスの潜在的な成長ポテンシャルを考慮すると、今回の経営数値目標については十分に達成可能だと考えている。
実際、国内における企業の売掛債権は200兆円を超える規模だが、そのうち何らかの保証や保険の対象となっている金額は概算で1.3%程度に過ぎない。
海外では英国で12~14%、フランスで30~35%、ドイツで40%以上の水準で、これらサービスを利用したリスクヘッジが行われており、国内でも売掛債権保証サービスの利用率上昇による成長ポテンシャルは極めて大きい。
また、同社が過去10年間に接触した企業数は、(株)帝国データバンクの企業情報データベースにおける約150万社のうち5.8%、また売掛債権が発生しやすい卸売業では約16万社のうち12.6%に過ぎない。
これは営業リソースや顧客獲得チャネルの不足が原因であり、今後これらを拡充していくことで顧客を開拓し、事業規模を拡大していくことは可能だと考えられる。
資本効率については、ROE、ROICで2024年3月期の15%台から2028年3月期は20%以上を目指す。
目標達成に向けた施策として、株主還元と資本効率を重視しながら資本の有効活用を図ることに加えて、利益率の向上または自社株買い等も選択肢として検討する。
今回の中期経営計画には織り込んでいないが、将来的には企業間信用分野だけでなく、間接金融(金融機関の融資業務)分野などにも信用保証サービスを展開していくほか、海外市場にも本格的に進出していく予定だ。
海外については2028年3月期までに事業を開始すべく準備を進めている段階で、まずは東南アジアで駐在所を開設し、現地企業と合弁で信用保証サービス事業を展開していく構想を描いている。
顧客対象は現地の日系企業やローカル企業とし、リスク移転先は現地の金融機関と提携する考えだ。
(3) 基本方針
同社は以下の6つの基本方針に取り組むことにより、データベース整備を求める安定成長からリスク引受力向上と資源投入によりギアチェンジを図り収益成長を加速していく。
a) ビッグデータ活用と流動化で「保証」を従来金融と異なる新たな金融事業分野へ
b) 充実した同社独自の企業データベースと流動化を前提とした積極的リスク引受
c) 営業資源の投入増加とデジタル化の推進による効率的な売上増加
d) 新チャネルと新商品の投入及びマーケティング強化による顧客母集団拡大
e) 既存顧客へのサービス充実等による継続率と保証増額率の一層の引き上げ
f) 周辺ビジネスを実施する企業との連携強化に伴う、顧客にとっての商品価値の向上
同社は企業の売掛債権保全ニーズの高まりを背景に、独自の企業データベースと流動化ノウハウを基に積極的なリスク引受を行う方針で、営業リソースの拡充とITの活用による営業効率の向上を図る。
営業人員については2024年4月時点の149名から、2年後には190名強と1.3倍に増員する計画だ。
リソースを拡充することで新規顧客の開拓が今まで以上に進むほか、既存顧客に対するフォローアップや新サービスの提案を強化することで、継続率の向上や保証増額率の引き上げを図る。
また、同社は顧客獲得チャネルとして地方銀行や信用金庫を中心に業務提携契約を結び、効率的に見込み顧客を獲得している。
今後は未提携の金融機関※などの提携ネットワークを拡大するだけでなく、中堅・中小企業の経営者に直接アクセスできる税理士事務所とのネットワークを構築することで、顧客企業の裾野を拡大する考えだ。
新商品としては、多様な顧客ニーズに応えるべく保証付債権買取サービスや請求書発行代行サービスなどの周辺サービスを販売し、顧客当たり売上高の拡大を図る。
※ 2024年8月末時点での提携先の地方銀行は全62行中53行、信用金庫は全254行中15行である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
2. 中期経営計画
(1) 計画策定の背景
同社は2024年6月に4ヶ年の中期経営計画「Accelerate2028」を発表した。
企業倒産件数の増加や金利の上昇、労働人口の減少など外部環境が変化し、企業における売掛債権保全ニーズや与信管理業務のアウトソーシングニーズが高まるなど外部環境の変化を好機と捉え、営業リソースの拡充や営業基盤の拡張、同社独自の企業データベースを生かすことで収益成長を加速していく。
(2) 経営数値目標
経営数値目標としては、2028年3月期に売上高200億円、経常利益100億円、ROE20%以上、ROIC20%以上を掲げ、株主還元方針としては配当性向50%以上、DOEで継続的な向上を目指す。
従来は5~6年で経常利益を約2倍に拡大してきたが、今回の計画では4年間で2倍以上の成長を目指す。
年平均成長率では19.5%と直近4年間の実績(15.5%)を上回るが、中期経営計画の前半は営業リソースの拡充など先行投資を実施するため、利益成長は後半にかけて加速していく計画だ。
弊社では売掛債権保証サービスの潜在的な成長ポテンシャルを考慮すると、今回の経営数値目標については十分に達成可能だと考えている。
実際、国内における企業の売掛債権は200兆円を超える規模だが、そのうち何らかの保証や保険の対象となっている金額は概算で1.3%程度に過ぎない。
海外では英国で12~14%、フランスで30~35%、ドイツで40%以上の水準で、これらサービスを利用したリスクヘッジが行われており、国内でも売掛債権保証サービスの利用率上昇による成長ポテンシャルは極めて大きい。
また、同社が過去10年間に接触した企業数は、(株)帝国データバンクの企業情報データベースにおける約150万社のうち5.8%、また売掛債権が発生しやすい卸売業では約16万社のうち12.6%に過ぎない。
これは営業リソースや顧客獲得チャネルの不足が原因であり、今後これらを拡充していくことで顧客を開拓し、事業規模を拡大していくことは可能だと考えられる。
資本効率については、ROE、ROICで2024年3月期の15%台から2028年3月期は20%以上を目指す。
目標達成に向けた施策として、株主還元と資本効率を重視しながら資本の有効活用を図ることに加えて、利益率の向上または自社株買い等も選択肢として検討する。
今回の中期経営計画には織り込んでいないが、将来的には企業間信用分野だけでなく、間接金融(金融機関の融資業務)分野などにも信用保証サービスを展開していくほか、海外市場にも本格的に進出していく予定だ。
海外については2028年3月期までに事業を開始すべく準備を進めている段階で、まずは東南アジアで駐在所を開設し、現地企業と合弁で信用保証サービス事業を展開していく構想を描いている。
顧客対象は現地の日系企業やローカル企業とし、リスク移転先は現地の金融機関と提携する考えだ。
(3) 基本方針
同社は以下の6つの基本方針に取り組むことにより、データベース整備を求める安定成長からリスク引受力向上と資源投入によりギアチェンジを図り収益成長を加速していく。
a) ビッグデータ活用と流動化で「保証」を従来金融と異なる新たな金融事業分野へ
b) 充実した同社独自の企業データベースと流動化を前提とした積極的リスク引受
c) 営業資源の投入増加とデジタル化の推進による効率的な売上増加
d) 新チャネルと新商品の投入及びマーケティング強化による顧客母集団拡大
e) 既存顧客へのサービス充実等による継続率と保証増額率の一層の引き上げ
f) 周辺ビジネスを実施する企業との連携強化に伴う、顧客にとっての商品価値の向上
同社は企業の売掛債権保全ニーズの高まりを背景に、独自の企業データベースと流動化ノウハウを基に積極的なリスク引受を行う方針で、営業リソースの拡充とITの活用による営業効率の向上を図る。
営業人員については2024年4月時点の149名から、2年後には190名強と1.3倍に増員する計画だ。
リソースを拡充することで新規顧客の開拓が今まで以上に進むほか、既存顧客に対するフォローアップや新サービスの提案を強化することで、継続率の向上や保証増額率の引き上げを図る。
また、同社は顧客獲得チャネルとして地方銀行や信用金庫を中心に業務提携契約を結び、効率的に見込み顧客を獲得している。
今後は未提携の金融機関※などの提携ネットワークを拡大するだけでなく、中堅・中小企業の経営者に直接アクセスできる税理士事務所とのネットワークを構築することで、顧客企業の裾野を拡大する考えだ。
新商品としては、多様な顧客ニーズに応えるべく保証付債権買取サービスや請求書発行代行サービスなどの周辺サービスを販売し、顧客当たり売上高の拡大を図る。
※ 2024年8月末時点での提携先の地方銀行は全62行中53行、信用金庫は全254行中15行である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)