[日本インタビュ新聞社] - ■証券株決算速報値が占う、今週の企業業績発表の行方
前週は、やや「ざんねん」な1週間であった。まず石破内閣は、首相就任から戦後最短の8日後に衆議院を解散し、野党から総裁選挙中の発言からは手の平返しとして内閣不信任案を提出された。お蔭で当コラムが勝手に選挙関連三羽烏とランク付けしている麻生フォームクリート<1730>(東証スタンダード)、イムラ<3955>(東証スタンダード)、ムサシ<7521>(東証スタンダード)は、政局不安定化が逆に買い材料となるはずなのに、瞬間風速的にやや上ぶれただけにとどまり活躍場面が限られた。これが、解散から27日の投開票日までこれも戦後最短であるためなのか、それとも総選挙後の「ざんねん」な政局動向を示唆しているのかなど、気になるところである。
ノーベル賞も、終盤にノーベル平和賞を日本原水爆被爆者団体協議会が受賞した。日本にとって3年ぶりの受賞であり、核兵器廃絶への強力な世界的なメッセージとなる快挙である。しかしメディアやマーケットで下馬評にのぼっていた医学・生理学賞、物理学賞、化学賞などとは異なり、やや「ざんねん」なノーベル賞週間であった。マーケットでは、同3賞の関連株をスクリーニングしていまかいまかと買いの手ぐすねを引いていただけに空振りに終わった。
3連休明けの今週も、「ざんねん」な結果で終わるか「期待通り」の快挙となるか試してみたいカタリスト(株価材料)がある。企業業績の発表である。連休前に8月期決算会社の本決算や2月期決算会社の第2四半期(2Q)決算のピークを通過し、来週から3月期決算会社の2Q業績や9月期決算会社の本決算などがスタートする。前日14日の米国市場では、大手銀行株が市場予想を上回る7~9月期決算を発表したことなどからダウ工業株30種平均(NYダウ)が連日の最高値更新となったが、東京市場でも露払い役として注目したいのが、同じ金融セクターの証券株である。
実は証券株は、3月期決算会社の2Q業績発表で、毎期、先陣を切っているからだ。2Q業績の発表の開示より1週間から10日早く決算速報値を開示していることによる。証券各社は、10月25日から11月1日に掛けて2Q決算発表を予定しているが、早ければ今週末にも速報値が公表されるスケジュールにある。
証券各社の決算速報値がとくに注目されるのは、先行指標銘柄があるためだ。日本証券所グループ<JPX、8697>(東証プライム)である。9月24日に今3月期業績の上方修正と増配を発表した。この上方修正は、今3月期通期の1日平均の売買代金・取引高を株券では5兆円から5兆3000億円に引き上げたことなどが要因で、配当も中間配当を増配し、期末配当も株式分割換算で増配した。株価は、株式分割や中間配当の権利取りも加わり約12%高した。
証券各社は、業績が株式市況に左右されるとして業績ガイダンスを開示していないため業績の上方修正はないが、今年7月に発表した今期第1四半期業績も好調に推移した。なかにはこの好業績要因に国内株式市場活況のほか、米国株式の委託手数料大幅増の寄与をあげる証券会社もあった。この1Q決算速報値に最も株価がポジティブに反応したのは、極東証券<8706>(東証プライム)で約15%高の急伸をした。1Q大幅続伸業績の要因にトレーディング収益の寄与をあげており、日経平均株価が史上最高値まで買われたあととなれば当然の株価評価である。同社株はこのあと8月急落相場下で1180円安値に突っ込んだが、足元では1Q決算速報値発表時まで出直っており、スタンバイしている。今年11月2日から東証の取引時間が午後3時30分まで延長されることが、株価に先取りされるかも注目カタリストとなる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)