[日本インタビュ新聞社] - ピックルスホールディングス<2935>(東証プライム)は漬物・キムチ製品の最大手で、独自の乳酸菌Pne-12を使用した「ご飯がススムキムチ」シリーズや惣菜を主力としている。成長戦略として製品開発の強化、販売エリア・販売先の拡大などを推進するとともに、野菜・発酵・健康の総合メーカーを目指して外食・小売・農業領域への展開も推進している。25年2月期第2四半期累計(中間期)は、消費者の節約志向の影響などで減収となり、天候要因による野菜価格高騰なども影響して減益だった。ただし通期増収増益予想を据え置いた。通期予想に対する進捗率が順調であり、通期ベースで収益拡大を期待したい。株価は水準を切り上げて反発の動きを強めている。出直りを期待したい。
■漬物製品の最大手で「ご飯がススムキムチ」シリーズや惣菜が主力
漬物・キムチ製品の最大手で、独自の乳酸菌Pne-12(ピーネ12)(特許取得済)を使用した「ご飯がススムキムチ」シリーズや惣菜などを主力としている。さらに野菜・発酵・健康の総合メーカーを目指し、外食・小売・農業領域への展開も推進している。
24年2月期の品目別売上構成比は製品68.0%(浅漬・キムチ40.8%、惣菜26.1%、ふる漬1.1%)および商品(漬物、調味料、その他)32.0%、販路別売上構成比は量販店75.6%、コンビニ15.5%、外食・その他8.9%だった。セブン&アイ・ホールディングス<3382>など大手量販店・コンビニが主要取引先である。収益面の特性としては、個人消費動向のほか、天候不順などによる野菜(特に胡瓜と白菜)価格の影響を受ける傾向がある。
■成長戦略として新規事業も推進
中期経営目標値としては、27年2月期売上高445億円(浅漬・キムチ183億21百万円、惣菜116億13百万円、ふる漬5億07百万円、商品140億56百万円)、売上総利益92億21百万円、売上総利益率20.7%、販管費74億81百万円、販管費比率16.8%、営業利益17億40百万円、経常利益18億10百万円、親会社株主帰属当期純利益12億20百万円を掲げている。24年2月期の実績は売上高430億28百万円(浅漬・キムチ175億45百万円、惣菜112億41百万円、ふる漬4億73百万円、商品137億68百万円)、売上総利益86億37百万円、売上総利益率20.1%、販管費69億69百万円、販管費比率16.2%、営業利益16億68百万円、経常利益17億71百万円、親会社株主帰属当期純利益11億75百万円だった。
設備投資は、25年2月期からの3年間で合計77億円(25年2月期64億円、26年2月期9億40百万円、26年2月期4億円)を計画している。25年2月期には茨城工場(仮称、24年12月引き渡し予定、投資額50億50百万円)を新設する。
成長戦略として、製品開発の強化(キムチ製品、惣菜、ドライ商品、調味料)、販売エリアの拡大(特に西日本エリアでの販売拡大)、販売先の拡大(ドラッグストア、量販店、配食事業などの開拓)、新規事業(BtoC事業、農業事業、新規カテゴリ食品事業など)を推進している。
製品開発・新規カテゴリ食品事業では、主力の「ご飯がススムキムチ」シリーズの新製品、成長分野である惣菜製品の開発に加えて、冷凍食品関連商品(冷凍ご飯がススムキムチ鍋など)、サツマイモ関連商品(あいすやきいもなど)、長期保存が可能なLL(ロングライフ)ガス置換(容器内を一度真空にして不活性ガスに置き換える方法)惣菜などの開発も推進する。
販売エリアの拡大では全国ネットワークを活かした営業戦略を推進し、特に西日本エリアでの販売拡大に注力する。販売先の拡大では既存分野以外の売場への商品展開を推進する。
新規事業では、BtoC領域の外食・小売事業に参入し、20年10月に運営子会社OHが、埼玉県飯能市に複合型観光施設として、発酵のテーマパーク「OH!!!~発酵、健康、食の魔法!!!~」を開業した。
22年3月には子会社ピックルスファームを設立して埼玉県内で農業事業を開始した。所沢工場向けの小松菜や「OH!!!」向けのさつまいもを生産する。野菜の生産に関わることで安全・安心な原料野菜を安定的に調達するとともに、農業を通じた雇用創出や地域活性化にも貢献することを目指す。23年9月には、センシングデバイスや農業資材などを取り扱う複合機能商社であるAsueとの合弁により、サツマイモを原材料とする加工食品の仕入・販売を行う子会社ベジパル(出資比率60%)を設立した。
SDGsへの取り組みとしては、太陽光発電の導入、LED電灯の100%導入、子ども食堂への支援、オリジナルエコマーク「ピックルスのECO」の導入などに加えて、野菜残さを餌としたウニの養殖研究にも取り組んでいる。また23年2月には健康経営宣言を策定し、健康経営を推進している。
■25年2月期2Q累計減益だが、通期増益予想据え置き
25年2月期の連結業績予想は売上高が24年2月期比1.1%増の435億円、営業利益が1.9%増の17億円、経常利益が0.5%増の17億80百万円、親会社株主帰属当期純利益が2.1%増の12億円としている。配当予想は24年2月期と同額の24円(期末一括)としている。予想配当性向は24.9%となる。
第2四半期累計(中間期)は、売上高が前年同期比6.1%減の216億94百万円、営業利益が12.7%減の11億17百万円、経常利益が13.6%減の11億71百万円、親会社株主帰属中間純利益が12.8%減の7億98百万円だった。
減収減益だった。物価上昇に伴う消費者の節約志向の影響やコンビニエンスストア向け売上減少などで減収となったことに加え、天候要因で白菜や胡瓜など野菜価格が高騰したこと、物流費や人件費が上昇したことなども影響した。
品目別売上高は浅漬・キムチが5.6%減の83億54百万円、惣菜が5.3%減の62億54百万円、ふる漬が19.1%減の2億10百万円、商品が7.0%減の68億74百万円、販路別売上高は量販店が3.5%減の166億64百万円、コンビニが12.2%減の32億40百万円、外食・その他が17.0%減の17億89百万円だった。
全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上高が108億12百万円で営業利益が5億04百万円、第2四半期は売上高が108億82百万円で営業利益が6億13百万円だった。
通期連結業績予想は据え置いている。売上高の計画は、品目別には浅漬・キムチが0.2%増の175億71百万円、惣菜が1.0%増の113億57百万円、ふる漬が1.3%減の4億67百万円、商品が2.4%増の141億03百万円、販路別には量販店が0.9%増の328億34百万円、コンビニが3.1%増の68億70百万円、外食・その他が0.8%減の37億95百万円としている。
個人消費や原材料・エネルギーコストの動向に不透明感が強いものの、売上面は各種キャンペーンなど効果的な販促活動、商品規格や販売価格の見直しによる値上げに加え、新規取引先の開拓、既存取引先の深耕などで増収を目指す。利益面は広告宣伝費の増加や新工場稼働(24年12月予定)の影響があるものの、増収効果や生産コスト改善(製品の集約、不採算アイテムの見直し、省力化・機械化など)効果で増益を目指すとしている。EBITDA(営業利益+減価償却費)は6.1%増の27億66百万円、EBITDA率は0.3ポイント上昇して6.4%の計画としている。またESGやSDGsへの取り組みも強化し、事業を通じてサステナブルな社会の実現に貢献するとしている。
第2四半期累計(中間期)は減収減益だったが、通期予想に対する進捗率は売上高50%、営業利益66%、経常利益66%、親会社株主帰属当期純利益67%と順調であり、通期ベースで収益拡大を期待したい。
■株主優待制度は毎年2月末の株主が対象
株主優待制度(詳細は会社HP参照)は毎年2月末時点の100株(1単元)以上保有株主を対象として商品詰め合わせセットなどを贈呈する。
■株価は戻り歩調
株価は水準を切り上げて戻り歩調だ。1倍割れの低PBRも評価して出直りを期待したい。10月15日の終値は1064円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS96円49銭で算出)は約11倍、今期予想配当利回り(会社予想の24円で算出)は約2.3%、前期実績連結PBR(前期実績連結BPS1438円45銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約137億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)