■中期経営計画と進捗状況1. 中期経営計画『Stage Up Twenty』の概要システムディ (T:3804)は2018年10月期の期初に、2020年10月期までの新たな中期3ヶ年経営計画『Stage Up Twenty』を発表した。
この新中期3ヶ年経営計画の着実な達成により長期的な持続発展成長の実現を目指している。
中期経営計画の業績計画や戦略の骨子、具体的アクションプランなどは、以下にコンパクトにまとめられている。
業績面では最終年度の2020年10月期に経常利益6億円の達成を目標としている(各年の業績予想ではこれよりも慎重な数値が掲げられている)。
営業戦略としては、中心顧客層である中規模事業者に対しては熟成を重ねて利益率が高まったパッケージソフトの販売で対応し(“高効率ビジネス”)、その両側の大規模事業者と小規模事業者にはそれぞれ、カスタマイズ対応とクラウド対応(『Value & Volume Business』戦略)で臨んでいる。
初年度の2018年10月期は、売上高3,399百万円(前期比10.7%減)、経常利益389百万円(同12.5%増)で着地し、順調な滑り出しとなった。
2年目の2019年10月期は、第2四半期決算の経常利益が353百万円と過去最高を更新した。
通期の経常利益予想(440百万円)達成の可能性は十分高い状況にあると言え、2年目も順調な進捗が続いていると言える。
これまでの進捗状況を反映して現行中期経営計画の注力分野やアクションプランに若干の修正を見て取ることができる。
同社は今後の課題として1)“高効率ビジネス”の更なる浸透、2)売上規模の向上、3)ユーザーの拡大、の3点を掲げている。
その実現のための注力分野として、“公共向けビジネスの進展・飛躍”や“クラウドサービスの促進・拡張”といったところは従来通りだが、新たに、パッケージソフトの進化の方向性として『スマート・ソリューション』を打ち出している。
スマート・ソリューションとはAI・IoT・ビッグデータ等次代を牽引する新技術の活用による新しいソリューション提供のことだ。
同社は今後、各事業部門が開発を進める次世代のパッケージソフト及びクラウドサービスにおいてスマート・ソリューションを適用していく方針だ。
その第1弾として、2019年6月に学園ソリューション事業の新製品『CampusPlan Smart』が発表されている。
他の事業部門からもこれに続く新製品が今後発表されてくる見込みだ。
公会計・公教育の以外の4つの事業でも公共向けビジネスを展開中。
既存ビジネスの幹を太くすることに加え、新ソリューションの開発に取り組む2. 「公共向けビジネスの進展・飛躍」の進捗状況公共向けビジネスの拡大というのは、事業領域の水平展開により成長を目指す取り組みだ。
同社の公共向けビジネスは、2014年10月から本格的にスタートした。
地方自治体等公共団体の会計方式(公会計)の複式簿記・発生主義への移行をターゲットとした公会計ソリューション事業と、公立学校における校務支援ソフトの提供を行う公教育ソリューション事業の2つだ。
これらはいずれも黒字化して収益に大きく貢献するに至っている。
この成功体験をもとに、公共向けの製品・サービスを強化し、収益拡大につなげようというのがこの取り組みの主旨だ。
公会計ソリューションと公教育ソリューション以外の残り4部門においても、公共向けにソリューションを既に提案しており、それら現状のビジネスの幹を太くすることと、新たなソリューションの開発の2つで攻めていくことになる。
現状は、学園ソリューション事業の『CampusPlan』公立大学、ウェルネスソリューション事業の『Hello EX』・『Hello Fun』、『Weldy Cloud』、ソフトエンジニアリング事業の『規程管理システム』や『契約書作成・管理システム』などが目立った動きとなっているが、今後の候補領域としては、自治体の財政計画、地場産業育成支援、地域コミュニケーション、地域ポータル、空き家・空き地・荒廃地の対策・管理・活用、健康管理・増進、介護支援、などをピックアップしており、新サービスの開発などの動きが待たれる状況となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)