■EVの普及を促進させるゲームチェンジャーとなる技術として期待
日産自動車<7201>(東証プライム)は8日、2028年度の実用化を目指して研究開発を行っている全固体電池の積層ラミネートセルを試作生産する設備を初公開した。同社は本設備を総合研究所(神奈川県横須賀市夏島)内に設置し、全固体電池の技術開発を推進していく。
全固体電池は、電気自動車(EV)の普及を促進させるゲームチェンジャーとなる技術として期待されている。従来比で約2倍となる高いエネルギー密度や、優れた充放電性能による大幅な充電時間の短縮、さらにはより安価な材料の組み合わせによるバッテリーコストの低減等により、ピックアップトラックなども含めた幅広いセグメントへの搭載が期待され、EVの競争力を高める。
日産は、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」において、2028年度までに自社開発の全固体電池を搭載したEVを市場投入することを目指し、同電池の量産化に向けたパイロットラインを2024年度までに横浜工場内に設置する予定。今回公開した試作生産設備では、パイロットラインで量産試作を行う仕様の材料、設計、製造プロセスの検討を行う。なお、同社は、全固体電池は2028年度に1kWhあたり75ドル、さらにその後はEVがガソリン車と同等のコストレベルとなる65ドルまで低減可能なポテンシャルがあると考えている。
日産の研究開発を担当する副社長である中畔邦雄氏は、「日産は、分子レベルのバッテリー材料研究から、安全で高性能なEV車両開発、さらにはEV蓄電池として活用した街づくりまで、幅広く研究開発を行い、電動化技術をリードしてきた。過去の経験から得られた知見は、全固体電池の開発を支えている。全固体電池については、重要な要素技術が積みあがってきている。今後、開発部門と生産部門で一体となってこの試作生産設備を活用し、全固体電池の実用化を加速していく」と述べた。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)