■成長戦略と中期経営計画
2. 新中期経営計画
城南進学研究社 (T:4720)は現在、新中期経営計画を策定中であり、発表時期や内容についてはいまだ固まっていない。
その理由は、大学入試制度改革の方向性固めとみられる。
これまでのところは以下に掲げるように、方向性や骨子の発表にとどまっている。
新中期経営計画の期間は、明治維新以来続いてきた日本の教育が大きな変革を迎える時期と重なるというのが第1の基本観だ。
具体的には、思考力・判断力・表現力といった能力や、主体性・多様性・協調性といった性質を身に着けることが求められると考えている。
同時に、社会的背景として、少子高齢化、ICT化、グローバル化などが存在しているとも認識している。
そうした世界観に立って同社は、“未来を生き抜く力”を身に着けさせることが、教育産業に携わる者としての使命と位置付けている。
こうした基本認識の上で、同社は、1)大学入試制度改革への対応とソリューション事業の強化、2)少子高齢化の進行を見越した収益構造改革、3)顧客ロイヤルティの向上によるLTVの最大化、の3点を新中期経営計画の計画骨子としている。
新中期経営計画の計画骨子を一瞥したところでは、2014−2016中期経営計画からの正常進化版というのが弊社の印象だ。
2014−2016中期経営計画において達成したものを深耕すると同時に、前述の新たな環境変化に対応した課題も織り込まれている。
弊社が注目することは、ソリューション事業の強化だ。
ソリューション事業という概念は前回(2017年3月期第2四半期決算)の決算説明会で初めて登場したもので、まだ、実体的な収益貢献をするまでには至っていないが、着実に進みつつある。
同社がいうところのソリューション事業はBtoBもしくはBtoBtoC型の事業というのが弊社の理解だ。
基本的にこれまでの同社の事業はBtoCであった。
城南コベッツのFC展開や、くぼた式育脳法についての講談社パルとの事業提携はBtoB型ではあった。
しかし同社は、eラーニングのデキタスや電子黒板のActive Loopなど新たな商材を開発したことを受け、これらを積極的に外部企業へと販売していく方針を明確にしている。
従来からある既存事業のFC展開と新規商材を組み合わせて、今中期経営計画中にどこまで売上高を伸ばせるか注目していきたいと考えている。
弊社はまた、“J-FAMILY化構想”にも注目している。
同社はかねてより、乳幼児向け教育サービスで顧客を早期に取り込み、高校生や大学生になるまで顧客を囲い込む戦略に注力してきた。
この戦略を端的に表現した新用語が“J-FAMILY化構想”だと弊社では理解している。
弊社では、“J-FAMILY化構想”のコンセプトについて、従来から同社の特長・強みとして評価してきた。
ただ、同社の教育サービスメニューを改めて俯瞰すると、まだ改善の余地はある。
乳幼児期から小学校に進学する段階で、J-FAMILYにとどまることへの説得力が弱い印象だ。
この点については、同社自身も新たな施策や教育サービスメニューで解決を図ってくるものと弊社ではみている。
前述した新中期経営計画を策定する上での基本的な世界観に基づき、例えば学童保育と学習塾の組み合わせや、大学生を対象にした新サービスの投入などが想定される。
これらの具体的な内容は新中期経営計画の発表を待つ必要があるのは言うまでもない。
前述したソリューション事業の強化という項目が加わったことで、同社が目指す企業の在り方としては、従来までの“総合教育企業”から“総合教育ソリューション事業”へと移行する方向にあることは明確になった。
今後の進展を見守りたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)
2. 新中期経営計画
城南進学研究社 (T:4720)は現在、新中期経営計画を策定中であり、発表時期や内容についてはいまだ固まっていない。
その理由は、大学入試制度改革の方向性固めとみられる。
これまでのところは以下に掲げるように、方向性や骨子の発表にとどまっている。
新中期経営計画の期間は、明治維新以来続いてきた日本の教育が大きな変革を迎える時期と重なるというのが第1の基本観だ。
具体的には、思考力・判断力・表現力といった能力や、主体性・多様性・協調性といった性質を身に着けることが求められると考えている。
同時に、社会的背景として、少子高齢化、ICT化、グローバル化などが存在しているとも認識している。
そうした世界観に立って同社は、“未来を生き抜く力”を身に着けさせることが、教育産業に携わる者としての使命と位置付けている。
こうした基本認識の上で、同社は、1)大学入試制度改革への対応とソリューション事業の強化、2)少子高齢化の進行を見越した収益構造改革、3)顧客ロイヤルティの向上によるLTVの最大化、の3点を新中期経営計画の計画骨子としている。
新中期経営計画の計画骨子を一瞥したところでは、2014−2016中期経営計画からの正常進化版というのが弊社の印象だ。
2014−2016中期経営計画において達成したものを深耕すると同時に、前述の新たな環境変化に対応した課題も織り込まれている。
弊社が注目することは、ソリューション事業の強化だ。
ソリューション事業という概念は前回(2017年3月期第2四半期決算)の決算説明会で初めて登場したもので、まだ、実体的な収益貢献をするまでには至っていないが、着実に進みつつある。
同社がいうところのソリューション事業はBtoBもしくはBtoBtoC型の事業というのが弊社の理解だ。
基本的にこれまでの同社の事業はBtoCであった。
城南コベッツのFC展開や、くぼた式育脳法についての講談社パルとの事業提携はBtoB型ではあった。
しかし同社は、eラーニングのデキタスや電子黒板のActive Loopなど新たな商材を開発したことを受け、これらを積極的に外部企業へと販売していく方針を明確にしている。
従来からある既存事業のFC展開と新規商材を組み合わせて、今中期経営計画中にどこまで売上高を伸ばせるか注目していきたいと考えている。
弊社はまた、“J-FAMILY化構想”にも注目している。
同社はかねてより、乳幼児向け教育サービスで顧客を早期に取り込み、高校生や大学生になるまで顧客を囲い込む戦略に注力してきた。
この戦略を端的に表現した新用語が“J-FAMILY化構想”だと弊社では理解している。
弊社では、“J-FAMILY化構想”のコンセプトについて、従来から同社の特長・強みとして評価してきた。
ただ、同社の教育サービスメニューを改めて俯瞰すると、まだ改善の余地はある。
乳幼児期から小学校に進学する段階で、J-FAMILYにとどまることへの説得力が弱い印象だ。
この点については、同社自身も新たな施策や教育サービスメニューで解決を図ってくるものと弊社ではみている。
前述した新中期経営計画を策定する上での基本的な世界観に基づき、例えば学童保育と学習塾の組み合わせや、大学生を対象にした新サービスの投入などが想定される。
これらの具体的な内容は新中期経営計画の発表を待つ必要があるのは言うまでもない。
前述したソリューション事業の強化という項目が加わったことで、同社が目指す企業の在り方としては、従来までの“総合教育企業”から“総合教育ソリューション事業”へと移行する方向にあることは明確になった。
今後の進展を見守りたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)