[上海 6日 ロイター] - 中国企業は人民元の急落を受けて、一段の下落リスクを回避しようとしており、アナリストによると、これが元の下押し圧力につながる可能性がある。
元は4月に4%下落し、1994年の外為制度改革以来、最大の下げ幅を記録した。6日は1年半ぶりの安値を付けた。
恒生銀行(中国)のチーフエコノミスト、ワン・ダン氏は「一段の元安観測からリスクを回避しようとする企業が増えている」と指摘。「先渡し契約を結ぶことにより市場でドル需要が直ちに高まる。元にささらに下方圧力がかかる」と説明した。
一方、輸出企業の対応はまちまちで、過去数週間でドルを元に替えた企業もあれば、元がさらに値下がりすることを期待してドルを持ち続けている企業もあるという。
公式データによると、4月の元/ドルの先渡し契約は1000億元(150億ドル)相当と前年同月比でほぼ倍増し、2017年終盤以来の高水準となった。
このデータでは元とドルの売り買いの方向は不明。ただ1年物ノンデリバラブルフォワード(NDF)は元の下落を織り込んでおり、企業がドルを買っていることを示唆している。
中国当局はこれまで取引レンジが元安方向に向かうのを容認しており、企業の行動が元安を加速する可能性があるとアナリストは指摘する。
UBSの中国担当チーフエコノミスト、ワン・タオ氏はリポートで「2週間ほど前まではヘッジポジションが少なかった。多くの輸出企業は今回の動きに不意を突かれた可能性がある」と分析。「一段の元安リスクを回避する市場参加者が増えれば、元安の勢いが増しかねない」との見方を示した。