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システム ディ Research Memo(3):「V&V Business」の拡大で成長を図る

発行済 2017-02-06 16:03
更新済 2017-02-06 16:33
システム ディ Research Memo(3):「V&V Business」の拡大で成長を図る
3804
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■事業の概要と成長戦略

(2)成長戦略

a)パッケージソフトを核に、「V&V Business」戦略で成長を目指す
「V&V Business」とは2014年10月期−2016年10月期の3ヶ年中期経営計画で掲げられた、システムディ (T:3804)の成長戦略を表象するスローガンだ。
2つのVはValueとVolumeの頭文字である。
同社は顧客層を3つのグループに分解して認識しており、これまではそのうちの1つのグループを対象に事業を展開してきた。
しかし、今後は3つのグループすべてを対象とすることで成長を加速させていくという意図を込めて「V&V Business」を打ち出した。
その具体的中身は次のようになっている。


具体的には、同社はこれまで、企業規模やIT投資に対する資金量などの観点での中間層(中規模事業者)を対象に、業種・業務特化型の業務支援のパッケージソフトウェア・システムを開発・販売することで成長してきた。
そうした中間層の両側には、IT投資に対する資金的余裕度が高く、かつ、より高度なニーズを抱える大規模事業者と、反対に資金力が乏しい小規模事業者が存在している。
「V&V Business」戦略とは、従来からのターゲット顧客である中間層に加えて、両側の大規模事業者と小規模事業者をもターゲット顧客として取り込み、成長へとつなげようというものだ。
大規模事業者との取引は、数は多くないが1件当たりの金額が大きいことに着目してValue Businessと称し、小規模事業者との取引はクラウドをベースとするため1社当たりの金額は小さいが、顧客数は膨大であるためVolume Businessと称している。
大規模事業者にはソフトウェアのカスタマイズあるいはカスタムメイドのソフトウェア・システムの提供を行って顧客ニーズを実現して収益に繋げている。
一方、小規模事業者には、(買い切りではなく)月額料金で利用できるクラウドサービスを提供することで導入のハードルを下げ、顧客獲得数増加を図っている。


中規模事業者/パッケージソフトという伝統的領域おいても成長エンジンとしての要素が依然として残っている点も見逃せない点だ。
パッケージソフトは販売後のカスタマイズを行う必要がないので手離れが良く、本質的に収益性が高い。
前述のように、パッケージソフトはレディメイド品であるため顧客満足度と高収益性を両立することに難しさがある。
この点を解決する方法の1つがソフトウェアのバージョンアップだ。
一般に、ソフトウェアはバージョンアップを重ねることで機能追加や使い勝手向上がなされ、満足度の高いものへと完成度を高めていく。
創業事業である学園ソリューション事業では「キャンパスプラン」の最新版はバージョン9にまで版を重ねており、顧客満足度と同社の高い収益性を高次元で両立できるものとなっている。
他の事業においても各パッケージソフトのバージョンアップによる収益性改善の努力が行われている。


b)「V&V Business」の進捗を視る指標として「ストック収入」の増大に注目
ストック収入とは、月次(あるいは年次)利用料などの形で定期的に入るタイプの収入であり、顧客数やソフトウェアの累計販売数などが積み上がるほど増加する性格を有する収入だ。
ストック収入の対義語はフロー収入であり、これはソフトウェアの売り切りが典型的だ。
ストック収入の比率が高まると収益の安定性の増大につながるといえる。
また、ストック収入は顧客ベースが拡大して一定のラインを超えると利益率が急激に高まるという特長があり、収益性向上というメリットもある。
同社は前中期経営計画においてストック収入の増大を、「V&V Business」のなかのVolume Businessの進捗・浸透度合いを示すものとして重要視し、その拡大に取り組んできた。
「V&V Business」のもう一方の核であるValue Businessは、受注に成功すれば収益インパクトも大きいが、受注獲得の安定性は低い。
それに対してVolume Businessの商品・サービスにはクラウド型で積み上げタイプのものが多く、ストック収入がVolume Businessの大きな要素となっていることが、ストック収入を重視する背景にある。


同社のストック収入の構成要素は、同社のソフトウェア導入企業に対するサポート収入とクラウド型サービス収入の2つに大きく分けることができる。
サポート契約の前段にはソフトウェアの販売(前述のフロー収入)があり、この場合、フロー収入とストック収入は車の両輪の関係にある。
その意味で、同社の(フロー、ストックを合わせた)顧客総数の動向がKPI(重要経営評価指標)の1つと言える。
また、クラウド型サービスの拡販にも力を入れているため、そうしたストック型収益モデルのサービス契約件数もKPIと言える。
これらの足元の動向は、着実に右肩上がりで推移している。


こうした2つのKPIの上昇を反映して、同社のストック収入もまた、着実に右肩上がりで推移している。
2016年10月期のストック収入売上高は868百万円(前期比35.8%増)に達し、金額・伸び率ともに前期から加速した。
全売上高に占めるストック収入の割合も27.9%に上昇した。
詳細は後述するが、学園ソリューション事業の「キャンパスプラン for Azure」、ウェルネスソリューション事業における会員・運営管理システム、ソフトエンジニアリング事業の規程管理システム、公教育ソリューション事業向けの「School Engine」など、各事業においてはクラウド型サービスがラインアップされており、顧客数、サポート・クラウド契約数、及びストック収入は今期以降も高い成長が続くと弊社ではみている。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

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