【先週の概況】■ドル・円は一時107円05銭、米7月利下げの可能性高まる先週のドル・円は軟調推移。
17日に108円72銭まで買われたが、年内利下げの可能性が高まったことや米国とイランの軍事衝突に対する警戒感が高まったことから、リスク回避のドル売り・円買いが活発となった。
18-19日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合で、市場の予想通り政策金利の据え置きが決定されたが、公表されたFOMC声明には、次の行動決定に「辛抱強くなる」との文言が含まれていなかった。
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FOMCのスタッフ予測でも、8人のメンバーが年内1、2回の利下げを予想し、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が会見で「多くのメンバーが利下げの論拠が強まったと考えている」と述べたことから、7月を含めて年内複数回の下げ観測が強まり、ドル売りが広がった。
21日のニューヨーク外為市場でドル・円は、107円74銭まで買われた後に、107円30銭まで反落。
イランによる米無人偵察機ドローン撃墜に対する報復攻撃を米国政府がとどまったため、リスク回避の円買いは縮小。
5月の米中古住宅販売件数が市場予想を上回ったことや、米長期債利回りの上昇を意識したドル買いも観測されており、ドル・円は107円34銭でこの週の取引を終えた。
先週のドル・円の取引レンジは107円05銭−108円72銭となった。
ドル・円の取引レンジ:107円05銭−108円72銭。
【今週の見通し】■米中協議の進展期待でドル下げ渋りか今週のドル・円は下げ渋りか。
米連邦準備制度理事会(FRB)による年内複数回の利下げへの思惑が広がっており、米長期金利がさらに低下した場合はドルへの下押し圧力となろう。
ただ、注目の米中首脳会談に向け二国間の貿易協議の進展が期待されていることから、目先的にリスク回避的なドル売り・円買いは抑制される可能性がある。
6月18-19日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)で、メンバーの半数は政策金利の引き下げは妥当とみていることが明らかになり、7月以降における複数回の利下げ観測が広がっている。
米10年債利回りは一時2%を下回る場面もあった。
24日以降も利下げを意識して長期金利が弱含みとなる局面ではドル売りが強まる可能性がある。
焦点の米中首脳会談では、双方の対立がこれ以上深まることがなければ、リスク回避のドル売り・円買いは縮小する展開となりそうだ。
ただ、これまでのところ両国が相互に譲歩する姿勢はみせておらず、貿易摩擦にピリオドが打たれる展開は想定しにくい。
トランプ政権による対中制裁「第4弾」の発動は見送られる可能性はあるものの、これまでの経緯から考えると貿易協議は7月以降も継続する可能性がある。
【米・1-3月期国内総生産(GDP)確定値】(27日発表予定)6月27日発表の米1-3月期国内総生産(GDP)確報値は、3%台の成長が予想されている。
ただ、GDP確報値が市場予想と一致しても米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ方針に影響を与えるには至らず、リスク選好的なドル買いが強まる可能性は低いと予想される。
【米中首脳会談】(開催日時は未定)6月28-29日に大阪で開催される20カ国G20サミットのなかで調整中。
トランプ大統領と習国家主席との直接交渉で、両国の貿易面での対立が収束するか注目される。
ただ、交渉は今後も継続するとみられ、結論は先送りとなりそうだ。
予想レンジ:106円00銭−109円00銭