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井関農 Research Memo(3):2025年に創立100年を迎える農業機械総合専業メーカー

発行済 2023-10-04 14:33
更新済 2023-10-04 14:45
© Reuters.
*14:33JST 井関農 Research Memo(3):2025年に創立100年を迎える農業機械総合専業メーカー ■井関農機 (TYO:6310)の会社概要

2. 事業内容
(1) 整地用機械
整地用機械カテゴリーでは、農業において作付け前の整地に使用するトラクタ、耕うん機、防除などに使用される乗用管理機などを扱っている。
特に欧米においては景観整備業者、ホビー農家や一般消費者向けに土木作業用トラクタ・景観整備用トラクタ・乗用芝刈機などの販売が好調に推移している。
2023年12月期第2四半期の全社売上高に占める割合は40.7%と最大で、海外売上高においては整地用機械が72.4%を占めている。


トラクタカテゴリーにおけるフラッグシップモデルは「T.Japan(TJ)」シリーズで、65~130馬力のレンジに「TJV5シリーズ」「TJX3シリーズ」「TJW3シリーズ」と3つのシリーズをラインナップしている。
どのシリーズも「高精度・高能率・高耐久」を実現していることに加え、ICTも導入されている点が特徴だ。
例えば、「TJV5シリーズ」と「TJW3シリーズ」は農機に搭載したGPSアンテナ及び通信端末を用いて農機の情報を収集できることに加え、盗難抑止機能や稼働情報管理ツールが装備されている。
また、「TJX3シリーズ」においては、ICTの活用により「作業管理サポート」と「機械管理サポート」を提供するAGRI-SUPPORTを農機に導入することができる。
さらに、最先端の自動運転技術を導入した「ロボットトラクタTJ Vシリーズ」は、(1) トラクタに搭乗せず、有人監視下で行うロボットモード、(2) トラクタに搭乗し、操作は自動で行うオートモード、(3) 直進作業をアシストする自動操舵モードの3つの運転モードから状況に合わせたモードを選ぶことができる。
ICTを活用した農機を市場に投入することにより、農作業の効率化、省力化に大きく貢献している。
さらに、2023年6月にはボリュームゾーンである中型クラスの新型トラクタ「BFシリーズ」の発売を開始した。
大型クラスのみならず中型クラスにおいてもニーズの高い直進アシストやマップデータとの連動に対応しているほか、無段階変速機構や座り心地の良いサスペンションシートの搭載、シートベルト・リマインダの採用など居住性・操作性・安全性を追求した製品設計となっている。
顧客からの評価も高く、新規契約も順調に獲得している状況であることから、今後の業績拡大への寄与が期待される新商品である。


(2) 収穫調製用機械
収穫調製用機械カテゴリーでは、穀物の刈り取りと脱穀を合わせて行うコンバイン・ハーベスタ、収穫した籾を乾燥させる乾燥機、籾すり機、野菜収穫機などを扱っている。
2023年12月期第2四半期の全社売上高に占める割合は6.5%と整地用機械、作業機・補修用部品・修理収入、その他農業関連、栽培用機械に次ぐ売上となっている。
また、海外においては0.7%の売上を占めている。


同カテゴリーにおけるフラッグシップモデルはコンバインの「HJ」シリーズだ。
トラクタと同じく「高精度・高能率・高耐久」を実現していることはもちろん、最新のICTにより効率的な作業管理と機械管理を可能にするAGRI-SUPPORTを標準装備している。
タイプによっては、遠隔監視による農機の盗難抑止、稼働情報の管理サービスを提供する「ISEKIリモート」も装備している。
さらに、2022年12月には、農機の自動操舵に対するニーズの高まりに応え、直進アシストシステムを新たに搭載した新商品「HJ6130-Z」を発売開始した。
直進アシストシステムの導入により、作業者の疲労を軽減し、より快適な農作業環境の実現に貢献する。
コンバインカテゴリーに直進アシスト機能を搭載した製品が誕生したことにより、田植機・トラクタ・コンバインの主要製品カテゴリーにおいて直進アシストモデルのラインナップが揃った格好だ。


(3) 栽培用機械
栽培用機械カテゴリーでは、水田に苗を移植する際に使用する田植機や野菜移植機などの製品を扱っている。
2023年12月期第2四半期の全社売上高に占める同カテゴリーの割合は7.1%となっている。


同カテゴリーにおけるフラッグシップモデルは、「さなえPRJ8」と「同ロボット田植機」だ。
「高精度・高能率・高耐久」に加えて、「さなえPRJ8」にはGPS技術を用いた操舵アシストシステム「ISEKI直進&旋回アシストシステム」が搭載されている。
また、「さなえPRJ8ロボット田植機」は有人監視下でリモコン操作による無人作業を可能にする機能を備えている。


2021年12月期、田植機のラインナップにJapanシリーズが追加されたことにより、トラクタ、コンバイン、田植機の主力製品カテゴリーすべてでJapanを冠した製品が揃った。
これらはすべて大型農機に分類される。
今後農地の大規模化が進むなかでJapanシリーズの販売を伸ばし、農業の効率化、省力化に貢献していくことが期待される。
また、2023年12月期上半期には、大型の10条田植機「さなえPJ10」を新たに市場投入した。
特徴の1つは、機体設計を基本から見直し、エンジンを前方に配置していることだ。
エンジンを前方に配置するというのはグローバル展開を睨んだ設計思想であり、海外市場での今後の展開も期待できる商品である。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

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