[東京 12日 ロイター] - トヨタ自動車 (T:7203)は12日、2021年3月期の連結業績(国際会計基準)について、営業利益が前期比79.5%減の5000億円に落ち込む見通しを発表した。純損益は合理的な算定が困難だとして未定とした。営業収益予想は19.8%減の24兆円。豊田章男社長は、新型コロナ終息後に経済復興のけん引役として「準備が整った」と語り、「新しいトヨタに生まれ変われるスタートポイントに立った決算」と総括した。
リフィニティブがまとめたアナリスト19人の今期営業利益予想の平均は1兆8540億円となっている。
<リーマンよりインパクト大、4─6月が底>
豊田章男社長はオンライン会見で「コロナショックはリーマンショックよりもインパクトがはるかに大きいと思う」と指摘。「リーマンショック時よりも販売台数は落ち込むが、なんとか黒字(予想)を確保できている」と述べ、企業体質の改善に手応えを示した。
リーマンショック時の09年3月期は過去最悪の4610億円の営業赤字となり、世界販売は前の年から約110万台減少したが、今期のほうが155万7000台と落ち込みが大きい。
多くの企業が今期業績予想の公表を見送る中、トヨタは今期業績予想や販売計画、需要動向など一部を公表した。その理由について豊田社長は、自動車産業は経済への波及効果、他産業への影響があるため、トヨタが1つの基準を示すことにより「いろんな方の生活を取り戻す一助になるのではないか。裾野の広い関係各社が何かしらの計画・準備ができるのではないか」と話した。
今期の世界グループ小売り総販売計画は前期比15%減の890万台。 地域別の内訳は見送った。世界販売は4―6月に前年同期の6割、7―9月に8割、10―12月に9割、21年以降は前年並みに戻る回復の筋道を描く。世界の自動車市場は20年4月─6月を底に徐々に回復し、20年末から21年前半にかけて前年並みに戻る前提だ。
今期の前提為替レートは1ドル=105円(前期は109円)、1ユーロ=115円(同121円)。
4月には1兆2500億円の借り入れを実行し、事業を継続するため、取引先が資金繰りに窮した場合に備えた。小林耕士執行役員は「手元資金はリーマン・ショック時は3兆円しかなく、今は8兆円くらいあるが、番頭としては少ないと思う。米アップル (O:AAPL)は20兆円以上ある」と話した。
研究開発費はほぼ前期並みの1兆1000億円、設備投資は3.1%減の1兆3500億円を計画。今後も電動化、自動運転など最先端技術への投資を続ける。
<20年1―3月期純利益は86%減>
同時に発表した20年3月期(前期)の連結決算(米国会計基準)では、純利益が前の年に比べて10.3%増の2兆0761億円だった。20年1―3月期の純利益は前年同期比86%減の631億円だった。新型コロナ感染拡大による需要低迷が響いた。
前期の売上高は1%減の29兆9299億円、営業利益は1%減の2兆4428億円だった。コロナの影響で売上高は3800億円、営業利益は1600億円減少した。
トヨタは前期まで米国会計基準を採用しており、今期から国際会計基準に変更する。
*内容を追加しました。
(白木真紀 内田慎一 編集:田中志保 高木匠 石田仁志)