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天昇電 Research Memo(3):2019年3月期第2四半期営業利益は減益ながら内容は良好

発行済 2018-12-27 15:33
更新済 2018-12-27 15:40
天昇電 Research Memo(3):2019年3月期第2四半期営業利益は減益ながら内容は良好
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■業績動向

1. 2019年3月期第2四半期の業績概要
(1) 損益状況
天昇電気工業 (T:6776)の2019年3月期第2四半期の連結業績は、売上高8,104百万円(前年同期比8.1%増)、営業利益320百万円(同46.0%減)、経常利益369百万円(同36.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益180百万円(同54.9%減)となった。


売上高は、株式の追加取得によって米国子会社が第1四半期から連結対象(3ヶ月)となったことも増収に寄与(353百万円)しているが、この分を除いても3.4%ほどの増収であった。
主力の自動車関連部品の売上げが好調に推移したことに加え、自社製品である雨水貯留浸透槽製品も順調に拡大した。
一方で営業利益は前年同期比46.0%減となったが、主に減価償却費の増加(55百万円)、米国子会社の株式追加取得に伴う一括のれん償却(42百万円)、さらには将来の受注増に備えた梱包資材等の先行経費によるものであり、内容としては決して悪いものではなかった。


また営業外損益では、前年同期に比べて為替差益が増加したことなどから経常利益の減益幅は営業利益より小さくなったが、特別損失として段階取得に係る差損58百万円を計上したことなどから、親会社株主に帰属する四半期純利益は経常利益を上回る減益幅となった。


(2) セグメント別状況
公表されているセグメント別状況は以下のようであったが、この区分はあまり意味はない。
日本成形関連事業は増収ながら既述のように減価償却費増、梱包資材等の先行経費負担などから減益となった。
中国成形関連事業は金額は小さいがほぼ前年同期並みを維持した。
子会社の株式追加取得により新たにセグメント分けされたアメリカ成形関連事業はまだ赤字となっている。
不動産関連事業は伊賀市の土地を売却したことから減収減益となった。



営業利益は減益ながら財務内容は改善
2. 財務状況とキャッシュ・フローの状況
2019年3月期第2四半期末の財務状況は以下のようになった。
流動資産は8,015百万円(前期末比0百万円増)となった。
主要科目では現金及び預金が前期末比134百万円減、売上債権が同57百万円増、棚卸資産が同237百万円増となった。
固定資産は8,036百万円(同691百万円増)となったが、内訳は有形固定資産が同1,404百万円増、無形固定資産が同11百万円減、投資その他資産が同702百万円減であった。
この結果、資産合計は16,052百万円(同691百万円増)となった。


流動負債は6,962百万円(同219百万円減)となったが、主な変動は、短期借入金等の減少184百万円、仕入債務の増加242百万円などである。
固定負債は3,129百万円(同269百万円増)となったが、主に長期借入金の増加289百万円による。
純資産は5,960百万円(同641百万円増)となったが、主に親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加131百万円、非支配株主持分の増加446百万円などによる。


また2019年3月期第2四半期の営業活動によるキャッシュ・フローは810百万円の収入となったが、主な収入は税金等調整前四半期純利益の計上316百万円、減価償却費626百万円、売上債権の減少119百万円、仕入債務の増加98百万円などで、主な支出はたな卸資産の増加67百万円などであった。
投資活動によるキャッシュ・フローは748百万円の支出となったが、主な支出は有形固定資産の取得441百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出291百万円など。
財務活動によるキャッシュ・フローは235百万円の支出となったが、主な支出は長短借入金の減少(ネット)112百万円による。
この結果、現金及び現金同等物は134百万円減少し、期末の残高は2,836百万円となった。


記述のように損益計算書での営業利益は前年同期比減益であったが、キャッシュ・フローは増加しており、貸借対照表の内容は大きく改善している。
特に有形固定資産では、前期までに古い設備・機械を売却し、最新鋭の設備や機械(主に射出成形機)を導入しており、さらに一部資産の圧縮(評価替え)も行ったことなどから、内容は大きく改善されている。
同社の財務上の体質は着実に強くなっていると言える。


3. 主なトピック
(1) 「CHINAPLAS2018」に出展
同社は、2018年4月24~27日に上海で開催された「CHINAPLAS2018」に出展し、同社の加工技術を生かしたプラスチック製品に様々な機能性とデザイン性を付加することが可能な加飾技術と、金型加工技術により高光沢製品を生み出す成形技術について紹介した。
又、同社のブースには約2,000人が来場し、かなり注目を集めたようだ。
昨年(2017年)10月にも幕張メッセで開催されたIPF(国際プラスチックフェア)2017に出展しているが、今回もこれに続き、世界へのアピールを継続している。


(2) IR活動を積極化:ホームページをリニューアル
前々期に復配を果たしたこともあり、同社ではIR活動も積極化している。
その一環として2017年10月にホームページをリニューアルし、4ヶ国語(日本語、英語、中国語、スペイン語)に対応している。
又、2018年9月には新たに動画での自社製品並びに技術紹介のPRページを設け、より一層IR活動に力を入れており、海外も含めて多くの投資家にとってかなり見やすく、同社を理解しやすくなったと言えるだろう。


(3) 自社開発製品により雨水対策ビジネスを強化
同社は、自社開発した独自構造の雨水貯留浸透槽「テンレイン・スクラム」の特長を幅広く訴求し、雨水対策ビジネスを一層強化する方針で、2018年2月から提案型の営業を開始している。
この「テンレイン・スクラム」は、ブロック同士の横に大きな隙間を空けつつ、積上げたブロックで離れた下部ブロック同士をジョイント部材なしでつなぐ「スクラム工法」を用いている。
これにより使用する樹脂ブロックの数を大幅に削減することが可能で、原料、作業負担、物流などあらゆる面でコスト削減に貢献できる。
同社では、これまでも射出成形品メーカーとして雨水対策用の部材をOEM供給してきたが、今後は部材メーカーから脱皮して、設計まで含めた提案型への転換を進めて雨水対策事業を強化する方針だ。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

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