[シドニー 12日 ロイター] - 豪競争・消費者委員会(ACCC)のシムズ委員長は、米フェイスブック(FB)とアルファベット傘下グーグルにニュースコンテンツの使用料支払いを義務付ける政府の法案について、デジタルプラットフォームに対する規制強化の始まりにすぎない可能性が高いとの見方を示した。
豪政府は昨年12月、フェイスブックとグーグルが自社のプラットフォームに掲載する豪メディアコンテンツについて、メディア側に支払う料金の交渉を義務付ける法案を発表した。交渉で合意できない場合、政府が任命する調停人が決定する。決定に従わなければ、最高1000万豪ドル(770万米ドル)の罰金が科される可能性がある。
シムズ委員長は、12日のロイターネクストの会合で公開されたインタビューで「市場支配力が他にも見られれば、交渉規範に追加できる」と述べた。インタビューは12月21日に行われた。
豪政府の規制では、調停人の決定は「双方向の価値交換」を柱に行われる。この原則では、フェイスブックとグーグルが豪メディアコンテンツを使用することで得られる価値を考慮すると同時に、メディア側も両社のユーザーがニュースコンテンツを閲覧することで得られる価値を考慮することが求められる。
豪メディア業界ではこの双方向性に不満を抱く企業もある。フェイスブック傘下のインスタグラムやグーグル傘下のユーチューブなどが対象になっていないことにも批判の声が上がっている。
シムズ氏は、世界各国の競争法ではフェイスブックとグーグルの市場支配力拡大を止められなかったとし、公正な競争環境を確保するためには規制規範が最善の方法だと指摘。「どうなるか様子を見よう。現時点で最適化しても意味がない」と語った。
政府の法案には幅広い支持があり、豪議会は今年の早い時期に採決にかける見通し。