[香港 25日 ロイター] - 中国の動画投稿アプリ大手、快手科技が香港での新規株式公開(IPO)の公開価格の仮条件を105─115香港ドルに設定したことがロイターが確認したタームシートで明らかになった。調達額は最大54億2000万ドルとなる。
香港市場では過去1年余りで最大規模のIPOとなる。3億6520万株を公開する計画で、仮条件下限での調達額は49億5000万ドル。同社にはインターネットサービス大手の騰訊控股(テンセント・ホールディングス)が出資している。
快手はコメントの要請に応じていない。
IPOではグリーンシューオプションを行使して上場後30日以内に追加で5478万株を売却することが可能。実際に行使すれば調達額は57億─62億ドルに拡大する。
タームシートによると、グリーンシュー行使前の企業価値の評価額は556億─600億ドル。行使されれば時価総額は563億─617億ドルになる。
キャピタル・グループを筆頭に中核的(コーナーストーン)投資家10社が24億5000万ドル相当の株を取得する。
快手の調達額が62億ドルに達すれば、ここ数年のIPOで最大規模だった2019年9月のバドワイザー・ブリューイング・カンパニーの57億5000万ドルを抜く。
それ以前は、通信基地局の中国鉄塔(チャイナタワー)が18年8月に74億ドルを調達している。
快手がレンジ上限で資金を調達すれば、世界のデジタル企業としては、米配車サービスのウーバー・テクノロジーズによる19年5月の81億ドル以来の大きさとなる。
快手の公開価格は29日に決定する予定で、香港市場での取引は2月5日に開始する。
エキタスの調査部門トップ、スミート・シン氏は「同社は2019年に販管費を増大させて以降、赤字が続いているが、こうした支出は今後数年間で元に戻り、状況次第では黒字化するだろう」と指摘。「国内および世界の競合他社の状況からみて、快手のIPO価格からの上昇余地は相当あると考える」と述べた。
*内容を追加し、カテゴリーを一部変更しました。