[リヤド 29日 ロイター] - 中国が主導する国際開発金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の金立群総裁は29日、中国の広域経済圏構想「一帯一路」により途上国が持続不可能な債務を抱える事態になっているという米国の批判に反論した。
金総裁はリヤドで開かれている投資会議「フューチャー・インベストメント・イニシアチブ」のパネル討論で、中国の大規模なインフラ計画に関連するとされる債務問題の多くは、当該国の長期的な財政運営の過ちに起因していると指摘。「途上国が抱える債務問題は数年にわたり累積したもので、これを一帯一路と関連付けるのは公正ではない」と述べた。
同会議には世界銀行のマルパス総裁も首席。マルパス氏は米財務次官(国際問題担当)務めていた際、中国の一帯一路に批判的な見解を示しており、2018年12月に米議会で一帯一路は「高債務と低品質のインフラ」をもたらすと述べていた。
金総裁は、一帯一路は多くの国の成長と発展の支援に向けたインフラ改善が目標だと指摘。「外国から資金を借り入れたかどうかではなく、借りた資金をどのように利用したかが問題となる」とし、中国も過去40年間にわたり外国から多額の資金を借り入れたが、こうした資金を「賢明深く」利用したため、債務返済問題に直面していないと述べた。
マルパス総裁は、質の高いプロジェクトへの投資の重要性について賛同を示し、インフラを巡る貸付に関しては担保問題を含め透明性の向上が必要だと指摘。「債務水準が急速に上昇し、その国の国民が必要としないプロジェクトが遂行される結果になることもある」と述べた。ただ、具体的な事例は示さなかった。
中国の対外インフラプロジェクトを巡っては、スリランカが2017年、中国国有企業に対する80億ドルの債務が重しとなり、中国が資金を提供した港湾施設の経営権を譲渡した。