[ムンバイ 27日 ロイター] - インド経済の中心地・ムンバイがある西部マハラシュトラ州で、モディ首相率いる与党・インド人民党(BJP)が野党3党の連合に政権を譲ることになった。この結果、日本政府が支援する新幹線技術を用いた高速鉄道建設計画に黄信号がともった。
同計画の総投資額170億ドルの大部分は、日本政府による低利の長期融資。BJPは計画が始動した2017年にマハラシュトラ、グジャラートの2つの州政府を担っていた。
それが、BJPとこれまで同盟関係にあった地域政党「シブ・セーナー」が主導する野党連合がマハラシュトラ州政府を担当し、シブ・セーナーの党首が州首相に就任する見通しとなった。
同党の広報担当は「我々は一貫して新幹線に反対してきた」と表明。鉄道路線の大部分が他の州で敷設されるにもかかわらず、マハラシュトラ州政府が資金の大半を拠出していると不満を述べたうえで「見直しは必至だ」と語った。
高速鉄道は、ムンバイとグジャラード州のアーメダバードの508キロを結ぶ計画。だが、果物を生産する農家による反対で土地収用が難航していた。インド経済の成長率が鈍化する中、高速鉄道建設計画が遅延すれば、投資家の信頼を損ねかねない。
シブ・セーナーと連立を組む「国民会議派」の幹部は「インフラ事業に反対しているわけではないが、同時に、農家の利益を無視できない。農家が反対している事業については再考する」と述べた。
高速鉄道建設を進める「高速鉄道公社」からコメントは得られていない。
同計画に必要な土地1380ヘクタールのうち、当局がこれまで収容できたのは548ヘクタールにとどまる。政府が7月に明らかにしたところによると、2023年までに高速鉄道の運行を開始する予定となっていた。