[パリ/ミラノ 28日 ロイター] - コンサルティング会社ベインによると、反政府デモによる影響で今後、高級ブランドの香港からの撤退が予想される。
宝飾品や衣服などの高級ブランド各社の2019年の売上高は、香港の反政府デモの混乱が影響し、伸び率が予想レンジの下限近くとなる見通し。
2019年の世界の高級品の売上高は2810億ユーロ(3100億ドル)と、為替変動による影響を除いたベースで前年比4%増が見込まれている。伸び率は従来予想の4─6%の下限で、18年の6%を下回る。
香港には約1000の高級ブランド店があるが、デモによる混乱で客足が減り、一時的に営業を停止しているところもあり、売り上げは落ち込んでいる。ベインは閉鎖に踏み切る店舗も出てくると予想している。
13年のピーク時に100億ユーロを記録した香港の高級品売上高は、19年には60億ユーロに減少し、世界の高級品売上高に占める割合も一時の約5%から2%程度に落ち込む見通し。
これまで香港の高級品売上高を支えてきた中国本土の富裕層の購買パターンにも変化がみられる。国内の景気低迷にも関わらず、本土富裕層の高級品の購買意欲は引き続き旺盛。ただ、人民元安を背景に海外で買い物をする人は減っている。
さらに、政府の輸入関税・消費税引き下げにより、ニューヨークや香港など、海外で高級品を買う魅力は薄れている。
ベインによると、中国人による高級品売上高は、世界全体の35%を占め、今年の市場の伸びの90%を占める見通し。ベインのパートナー、フェデリカ・レバト氏は「中国人はクレジットでの購入にためらいがない。現時点で中国に関連した経済リスクはないと考えている」と述べた。
高級ブランドの中でも宝飾品市場は有望な成長分野で、19年の売上高の伸びは9%が見込まれているという。
仏高級ブランドLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン) (PA:LVMH)は25日、米宝飾品大手ティファニー (N:TIF)の買収を発表している。