[ブリュッセル 29日 ロイター] - 欧州委員会はルクセンブルクを世界の主要なタックスヘイブン(租税回避地)として挙げたIMF報告書について2日、ベステアー副委員長とジェンティローニ委員(経済担当)が執筆者であるIMF調査官と面会する。ルクセンブルクは今月1日の欧州委員会新体制の発足前に退任したユンケル前委員長がかつて首相を務めていた。アマゾンなど大手企業への税優遇が問題化し、欧州委が是正措置を求めた経緯がある。
IMF報告書は、人口60万人のルクセンブルクが米国と同程度で中国を上回る4兆ドル相当の海外直接投資(FDI)を呼び込んでおり、その規模は世界で10番目になると推定している。
そのうえで、「この規模のFDIが極めて小さなルクセンブルク経済における実体ある投資を反映していることはほとんどない」と指摘。流入する資金の大半は他国の税収を減らす「中身のないペーパーカンパニー」に向かっていると主張している。
IMFの報道官は報告書について、IMFの組織としての見解を示すものではなく、あくまで執筆者の見解だとしている。
欧州委は11月30日に退任したユンケル委員長の在任中、ルクセンブルクについて、ハイテクのアマゾンや自動車のフィアットといった大手企業に違法な税優遇を与えていたとしつつ、罰金を科す代わりに未払いの税の支払いを命じていた。ユンケル氏は1995年から2013年まで同国の首相を務めていた。
IMF報告書は「少数のよく知られたタックスヘイブンは世界中の実体のないFDIの大部分を呼び込んでいる」と指摘。ルクセンブルクおよび別の欧州連合(EU)加盟国であるオランダが魅力的な税政策などにより、実体のない40兆ドルのFDIのうち約半分を吸収していると付け加えた。
同報告書で挙げられているその他のタックスヘイブンは、EU加盟国のアイルランド、香港、英領バージン諸島、バミューダ、シンガポール、ケイマン諸島、スイス、モーリシャス。