[ウィーン 6日 ロイター] - サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相は就任後初のロイターのインタビューで、石油輸出国機構(OPEC)に非加盟産油国を加えた「OPECプラス」が協調減産を緩めるには、世界の原油在庫が減少し、需給の逼迫が価格に反映されることが条件になるとの見方を示した。
OPECプラスは6日、サウジが主導する形で、日量120万バレルとしている協調減産の規模を50万バレル拡大し170万バレルとすることで合意。来年1月から3月まで実施する。
9月にエネルギー相に就任したサルマン国王の息子、アブドルアジズ王子は、OPECプラスは3月以降も協調を継続すると想定していると表明。「3月時点の(需給の)状況についてはまだ判断が下されていない」とした。
世界の原油生産量の4割強を占めるOPECプラスは2017年以降、協調減産を続けてきた。
アブドルアジズ氏は、全ての産油国は増産を望んでいるが、サウジは世界の在庫が減少してはじめて増産する方針だと説明。原油在庫が過去5年のレンジ内に収まり、2010━14年の平均水準に達することがサウジの目標だと続けた。
また、原油先物で期近物が期先物の価格を上回る「長短逆転」が起き、需給の引き締まりを示唆する状態も、増産につながる材料になると述べた。
OPECプラスが6日に合意した減産拡大は3月までの期間となった。一部では6月あるいは12月までの期間が設定されると予想されていたが、ロシアが長期間の合意に反対しており、一部のアナリストはロシアが近く協調減産を離脱する可能性を示す兆候だと指摘する。
ただ、アブドルアジズ氏はこういった見方を否定し、ロシアとの協力関係は続くと述べた。OPECプラスが期間を短く設定したのは、単に生産量の調整で柔軟性を高めたいからだと語った。
同氏は、イラクやナイジェリアといった一部加盟国は減産合意の順守率を高める必要があると強調。ただ、これらの諸国の順守率が改善しなくても、サウジは一方的な増産は行わずに3月初めのOPECプラスでの協議を待つ考えだと明らかにした。
サウジとクウェートが共同で操業する油田が「近く」生産を再開すると見込むが、「両国の(協調減産合意)の順守には影響を及ぼさない」とした。
<アラムコの企業価値>
アブドルアジズ氏は、国営石油会社サウジアラムコの11日の国内市場での上場を前に、同社の実際の価値は新規株式公開(IPO)での評価額である1兆7000億ドルよりも「大幅に高い」と指摘。ムハンマド皇太子が目指していた2兆ドルに届かなかったのは、業界全体の低迷が原因だと述べた。
「株式上場後に人々が、同社の価値に関する我々の見解は間違っていなかったと気づくよう願っている」と語った。
企業価値は想定を下回ったものの、IPOの資金調達額は256億ドルと、中国電子商取引最大手アリババ (N:BABA)が2014年の上場時に調達した250億ドルを超え、過去最高となる。