[ワシントン 9日 ロイター] - 米国のムニューシン財務長官と国家経済会議(NEC)のカドロー委員長は9日、5月にも経済活動の再開に着手する可能性があるとの見方を示した。
ただ多くの医療専門家は新型コロナウイルスの封じ込めに向け、事業閉鎖やソーシャル・ディスタンシング(社会的距離戦略)措置をより長期間維持する必要があると指摘している。
ムニューシン長官はCNBCで、トランプ大統領が5月に米経済活動を再開させる可能性があるのかとの問いに対して「そうだ」と応じ、「大統領が新型コロナに関する問題に安心感を感じれば、あらゆる必要なことをすぐにでも実施し、米国の企業と労働者が事業を再開し、その過程において事業を運営するために必要な流動性を提供していく」と述べた。
NECのカドロー委員長も、今後1─2カ月の間に状況を見ながら経済活動を順次再開させることが可能と表明。FOXビジネス・ネットワーク(訂正)に対し、「われわれの関心は困難に陥っている多くの人を安心させることだ」と述べた。
ただ、米国では新型コロナの死者が増えており、拙速な職場復帰に反対する声が出ている。
連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は9日、「経済活動の再開に向けた全国的な計画が必要だ」とした上で「誰もができる限り早期の再開を望んでいるが、その時期を誤り、部分的に業務を再開した結果、新型コロナの感染者が急増し、また振り出しに戻るという事態は避けたい」と述べた。
米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長も9日、新型コロナ感染症による米国内の死者が従来予想を下回る6万人程度にとどまる可能性があるとの見通しを示しつつも、時期尚早な経済活動の再開をけん制した。
トランプ米大統領は8日、米国の経済活動を「ビッグバン(大爆発)」的に再開させたい意向を表明した上で、そうするには新型コロナウイルス感染による死者が減少傾向を示す必要があるとの認識を示していた。
*内容を訂正しました。