[ブリュッセル 13日 ロイター] - 欧州連合(EU)の外相に当たるボレル外交安全保障上級代表は13日、中国による香港国家安全維持法(国安法)制定に対しEUが対抗措置を準備していることを明らかにした。ただ、外交筋は経済制裁の発動には至らないとの見方を示している。
ボレル氏はブリュッセルで開かれたEU外相会議後の記者会見で、「香港の自治と市民社会に対する支持を示すために、EUとして対応することで合意した」とし、「EU全体としての措置と、加盟各国の措置で構成される」と述べた。
具体的には何も決定されていないとしながらも、中国当局が香港抑圧に利用する恐れがある機器やソフトウエアなどの禁輸措置延長について協議したと表明。加盟各国が香港との犯罪人引渡条約を見直す可能性があるとしたほか、香港の学生に対する奨学金の拡充のほか、 香港市民に対するビザ発給拡大なども考えられるとした。
その上で、EUとしての対応を近く発表すると明らかにした。
フィンランドは香港との犯罪人引渡条約の見直しを支持すると表明。スウェーデンはEU外相会議に先立ち、香港国家安全維持法に強硬に対応する必要があるという仏独の見解に賛同を示していた。
EUは他の西側諸国と同様、中国による香港国家安全維持法の制定を非難しているが、具体的な対応は明確にしていない。複数のEU外交官は、EU第2の貿易相手国である中国に対し正式な制裁措置が導入される公算は小さいとの見方を示している。
*内容を追加しました。