[東京 22日 ロイター] - 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の武藤敏郎事務総長は、来年の五輪開催に向け、9月中に運営態勢の見直しを行い、それに基づいて延期に伴う追加的コストを積算する考えを示した。
武藤氏は21日に実施したロイターのインタビューで、追加的コストを公表する時期について「サービスレベルの見直しを9月いっぱいで(国際オリンピック委員会=IOCに)報告した後、秋以降にならざるを得ない」と述べた。
具体的な見直しの内容については、来日する関係者の人数削減などが検討されていることを明らかにした。組織委は先週、1年延期された五輪大会の競技日程と会場を発表した。
大会開催中の新型コロナウイルス感染症対策として、9月に国・東京都と三者で対策会議を立ち上げ、「年内には一応の結論を得て、来年実施するための予算を確保するといった具体的な作業に入っていきたい」と述べた。
来年になっても新型コロナ感染をめぐる状況が改善しなかった場合の選択肢は何か、との質問に同氏は「来年オリンピックをやることがバッハIOC会長と安倍(晋三)総理の間で明確に決められているので、それに向かって万全な準備を進めていくのが組織委員会のミッションだ」と答えるにとどめた。
一方、大会の既存スポンサー企業に対しては、従来2020年12月までだった契約期限の1年延期とそれに伴う拠出金の追加を依頼していると語った。
東武タワースカイツリー株式会社(東京都墨田区)は22日、組織委と東京2020オフィシャルサポーターの契約を締結したと発表した。武藤氏は新たなスポンサーシップについて「このコロナの状況下、企業にとっては厳しい状況の中で、延期された大会のためのスポンサーシップを名乗り出てくれる企業があるということは大変ありがたい、明るいニュースだと思っている」と述べた。
NHKが22日に公表した世論調査の結果によると、来年の五輪開催について「さらに延期すべき」と「中止すべき」と答えた人が合わせて66%に上り、「開催すべき」と答えた人(26%)を大きく上回った。
武藤氏はこうした世論の動向について「コロナウイルスの感染状況について先が不透明で、はっきりしたことが分からないなか、いろいろな意見があるのは当然のことだと思う」とし、万全なコロナ対策の実施が重要であり、「そういう環境を作れば世論はだいぶ違ってくるのではないか」との見方を示した。
大会組織委員会に長く関わってきた一個人として、現在の状況についてどのように感じているかと問われ、武藤氏は「本来なら、きょう(21日)は開会式直前のIOC総会が東京で開かれているはずだった。聖火が、都内の主要なところを走っているはずだった」と話した。五輪開会式はもともと7月24日に予定されていた。
そして「ウィズ・コロナの状況でのオリンピック・パラリンピック、これを東京が開催することができれば、今後のオリンピック、あるいは世界的に行われるさまざまなイベントのロールモデルになるのではないか。東京大会を実現することによって、これが1つのレガシーとして、人類の歴史に記されることになる。それを強く願っている」と語った。
(宮崎亜巳、Jack Tarrant)