[ジャカルタ 13日 ロイター] - インドネシア中央銀行は13日、政策金利を据え置いた。通貨ルピアに対する一段の下押し圧力を避ける狙いがある。その一方で景気を支援するために量的緩和措置を用いる考えを改めて示した。
中銀は7日物リバースレポ金利を予想通り4.0%に据え置いた。翌日物預金ファシリティー金利(FASBI)を3.25%に、貸出ファシリティー金利は4.75%にそれぞれ維持した。据え置きは3会合連続。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、インドネシア経済はおよそ20年ぶりのリセッション(景気後退)に陥るとみられている。
ペリー・ワルジヨ中銀総裁はストリーミング形式の記者会見で「(量的緩和策が)景気支援にはより効果的と考えている」とし、中銀はこれまでに新型コロナの影響に対処するため667兆6000億ルピア(約454億5000万ドル)の新規流動性を供給したと指摘した。
同国中銀は、今年これまでに4度の利下げを実施。預金準備率を引き下げたほか、貸し出し規制も緩和した。さらに、ジョコ・ウィドド大統領が打ち出した景気対策の資金確保のため国債の直接購入も行った。
総裁は会見で、民間消費は引き続き低調だが、インフラ向けなど政府支出の拡大と輸出持ち直しが経済を押し上げるはずと述べた。
ルピアは今年に入って5.4%安と、アジアの新興国通貨の中で今年最も大幅に下落している。
総裁は金利据え置きはルピア相場の安定維持と一致していると説明した。ルピアは「基本的に過小評価されている」と指摘し、上昇する余地があるとの認識を示した。
インドネシアの第3・四半期の経常収支は2011年終盤以来の黒字となり、ルピア相場を下支えするとの見方を示した。
INGのアナリストはルピアが依然として下落しやすい状況にあるとして、短期的には利下げが行われる公算は小さいと予想している。
キャピタル・エコノミクスのアナリスト、ギャレス・レザー氏は追加緩和はルピアの動向次第とした上で、経常赤字の縮小と世界的なリスク志向の改善を受けてルピアは今後数カ月で安定するとの見方を示した。「ルピアに関するわれわれの予想が正しければ、近く利下げが再び議題に上る可能性がある」と指摘した。
*エコノミストコメントなどを追加しました。 OLJPWORLD Reuters Japan Online Report World News 20201013T080201+0000