[東京 14日 ロイター] - 政府は14日、観光需要喚起策「GoToトラベル」について、28日から来年1月11日まで全国一斉に停止することを決めた。新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済社会活動の両立を目指してきた政府は、これまで同事業の一斉停止には慎重だったが、感染者が増え続けていることや、専門家らによる分科会の提言を受けて方針を転換した。
<年末の営業自粛に協力金、医療関係者への補助も増額>
菅義偉首相は14日、首相官邸で開いた新型コロナ感染症対策本部の会合で、「年末年始にかけて、これ以上の感染拡大を食い止め、医療機関などの負担を軽減し、落ち着いた年明けを迎えることができるよう最大限の対策を講じる」と強調した。
GoToトラベルは27日までは札幌、大阪両市に加えて、東京都と名古屋市を目的地とする旅行も利用を一時停止する。28日から1月11日までは全国一斉に停止し、12日以降は「その時点での感染状況などを踏まえ、あらためて判断する」とした。
菅首相はまた、飲食店の営業時間短縮を「さらに延長をお願いせざるを得ない」とし、各地の飲食店に支払う協力金について「年末年始の期間、支援額を倍増して最大で1カ月120万円を支援する」と語った。
さらにコロナ患者に対応する医療機関に対し、空きベッドなどへの収入補償などを延長・拡大する。医師や看護師への支援額も倍増する。看護師が本来の業務に専念できるよう、病院が清掃などを民間業者に委託することも支援する。
<勝負の3週間も感染拡大、「何としても食い止める」>
東京都ではこの日新たに305人の新型コロナウイルス感染が確認された。重症者は73人と前日より3人増加した。
政府が勝負の3週間と呼びかけた11月下旬以降、新型コロナの感染者は全国で増え続け、12日には1日で3000人を超えるなど、過去最多を更新した。こうした状況を受けて、専門家らによる新型コロナ感染症対策分科会は11日、感染度合いが4段階で2番目に深刻な「ステージ3相当」の対策が必要な地域で、感染が拡大または高止まりしている場合は、GoToトラベルとイート事業を一時停止するよう提言した。
毎日新聞が先週末に行った世論調査では、政府の新型コロナ対策を評価する人は14%にとどまり、菅内閣の支持率も40%に急落、不支持率が支持率を上回る結果となっていた。
菅首相は14日夜、この日の決断について「コロナ感染というものを何としても食い止める、そうしたことに協力いただきたい。そうした思いの中で自ら判断した」と記者団に語った。
*内容を追加しました。
(石田仁志、竹本能文 編集:久保信博)