[シドニー 11日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は、市場の早期利上げ観測を押し戻す取り組みの一環として、一部の国債の貸出料を引き上げた。投機筋は当該の国債を空売りする際のコストが上昇する。
中銀は2023年4月償還債と24年4月償還債の貸出料をこれまでの2倍の100ベーシスポイント(bp)に引き上げた。
中銀はイールドカーブ・コントロール(YCC)政策で3年債利回りを目標の0.1%に維持するため、23年4月、24年4月償還債をオペの対象としている。
RBCキャピタル・マーケッツのマクロ金利ストラテジスト、ロバート・トンプソン氏は「中銀の措置により、他で担保を確保できない人がこれら2種の債券を空売りする場合のコストが大幅に上昇した。中銀はレポ市場のマーケットメーカーに強力なシグナルを送った」と述べた。
豪中銀は当初、これらの国債の貸出料を20bpとしていたが、投機筋による空売りを目的とした借り入れが増えたことを受けて50bpに引き上げていた。だが、投機的な動きがいっそう強まる中、今週に入って100bpに再度引き上げた。
投機筋は中銀が0.1%の利回り目標に対するコミットを弱める、もしくは取り下げるのではないかとの思惑から空売りを仕掛けている。市場では来年の政策金利引き上げを織り込む動きも出ている。
ロウ中銀総裁は10日、こうした観測を否定し、政策金利は少なくとも2024年まで現行水準にとどまる可能性が高いと言明。3年債利回りの目標についても「取り下げや10bpからの変更は検討していない」と述べた。