[東京 25日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は25日、中央銀行が気候変動に対応して行動する際には、金融システムの安定確保という責務に沿って考えることになると述べた。その上で、関連リスクを管理する体制や手法について、金融機関との対話を深めていくことが喫緊の課題だとの認識を示した。
黒田総裁は、日銀自身もストレステストをはじめとする気候関連金融リスクの計測手法について、知見を深めていく必要があると述べた。また、気候変動の影響は金融システム面に止まらないことから、日銀行内に組織横断的な会議体を立ち上げるなど、体制の強化を図っていることなども明らかにした。
黒田総裁は、中銀の金融政策運営の前提となる経済・物価について、気候変動や政府の対応を踏まえて情勢判断していく必要があるとも述べた。より積極的にサステナブル・ファイナンスを支援する金融政策をとるべきかについては、中銀の責務や金融政策手段の市場中立性との関係が論点になるとし、日銀としても検討を重ねていきたいと語った。
日銀は25、26日の両日、気候変動が金融システムを不安定化させるリスクを議論する国際リサーチ・ワークショップを開く。黒田総裁は「気候関連金融リスクへの取り組み─中央銀行の視点から─」と題し、開会のあいさつを行った。
同会合では、中銀、金融監督当局をはじめとする政府機関、国際機関や金融機関などの関係者、国内外の研究者がオンライン形式で参加する。